1989 Fiscal Year Annual Research Report
木質構造における“あそび"と局部塑性の力の伝達機構と確率論的評価
Project/Area Number |
01460232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有馬 孝礼 東京大学, 農学部, 助教授 (10144057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 昇 東京大学, 農学部, 助手 (30180384)
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Keywords | 木質構造 / あそび / 摩擦 / 減衰 / 接着剤 / 粘着剤 / 接合部 / 免振効果 |
Research Abstract |
木質構造の他構造と著しく異なる点は接合の“あそび"と局部塑性にある。それは耐力壁や水平構面のような耐力要素にあってはそれを問題としなかったが、木質構造の自由度の拡大によって出現した各種立体架構では極めて重要な要素で、他構造にない特異な分野となる。本研究はこれらの新しい木質構造において避けがたい“あそび"と局部塑性の構造体や耐力や力の伝達に及ぼす効果に関して実験および確率論的に検証をしようとするものである。本年度実績は以下のとおりである。 1.“あそび"有する構造の変形の進行に伴う力の分布、伝達を比較するには、モ-ダル、伝達関数に関する解析手法が有効であり、計測された多点の変位や加速度を取込み、演算、解析、図形表示を行う装置とその基本設計を行った。 2.スギ通直材を中間で合板ガセット接合し、梁の曲げの静的、振動試験を行った。接合部には釘、粘弾性性状の異なる2種の粘着剤、接着剤を用い、曲げ剛性、固有振動数、減衰、応力波伝播時間などを比較した。とくに減衰性状に差異がみられ、他の弾性に関係する要素は短時間の小荷重では差異は少なかった。また、片持ち梁型式の曲げモ-メント抵抗型の試験体でも粘着剤のズレ変形と瞬間的な加力に対する抵抗は認められるが、木部の局部の割裂やせん断破壊の緩和にどのような効果を発揮するのかさらに細部の検討が要求される。 3.人為的に“あそび"を配したフレ-ムモデルを作製し、振動試験を行った。フレ-ムモデルは矩形で4接合部を“あそび"のあるボルトのピンとし、1接合部の“あそび"の度合を摩擦、粘着剤、接着剤などで順次変化させた。“あそび"の構造体に入力される振動の免(制)振効果の定性的な傾向はえられたが、各種接合部の曲げモ-メントの抵抗機構、破壊に関しまだ不明なところがあり、さらに細部の検討を要する。
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