1989 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞膜のイオンチャネルの再構成:イオンチャネル活性を指標とした脂質ー蛋白質相互作用及び膜ー細胞質相互作用の研究
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01460269
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桐野 豊 九州大学, 薬学部, 教授 (10012668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平嶋 尚英 九州大学, 薬学部, 助手 (10192296)
安西 和紀 九州大学, 薬学部, 助手 (70128643)
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Keywords | 心筋細胞膜 / イオンチャネル / 脂質平面膜法 / 再構成 / L型Caチャネル / Ca取り込み |
Research Abstract |
1.心筋細胞膜ベシクルの調製: ブタ心室筋より細胞膜ベシクルを調製した。細胞膜の標識酵素であるNa,K-ATPase活性および超薄切片電子顕微鏡写真により目的の細胞膜ベシクル標品であることを確認した。 2.心筋細胞膜ベシクルのCa取り込みの測定: 調製した細胞膜ベシクルの受動的Ca取り込みを、放射性Caを用いたメンブレンフィルタ-法により測定した。ベシクル外液のK濃度に依存した取り込みが観測された。Ca感受性蛍光色素を用いたCa濃度測定法は、連続的な時間変化が追える等、上記方法に比べていくつかの長所を有しているので、測定の予備実験を行いこの方法を用いる準備をした。 3.心筋細胞膜イオンチャネルの脂質平面膜への再構成: 調製した心筋細胞膜ベシクルをpainting法で形成した脂質平面膜へ融合させることにより、各種イオンチャネルを単一チャネルレベルで観測した。現在までに、L型Caチャネル、Ba選択性チャネル、Cl選択性チャネル、K選択性チャネルを観測できた。しかしながら、L型Caチャネルの観測頻度が小さいため、このチャネルに対する薬物効果等を測定するには至っていない。L型Caチャネルの開確率は蛋白質リン酸化により増大することが知られているので、細胞膜ベシクルをあらかじめリン酸化処理してから脂質平面膜へ再構成することを検討中である。 4.心筋細胞膜のL型Caチャネルの精製: 調製した心筋細胞膜ベシクルをL型Caチャネルに強く結合する[^3H]アジドピンで光標識し、界面活性剤ジギトニンで可溶化後、放射活性を指標にしてL型Caチャネルを精製しようと試みた。イオン交換クロマトグラフィ-、ゲル濾過クロマトグラフィ-、WGAアフィニティ-クロマトグラフィ-により部分精製できたが、さらに精製を進めるためにCaチャネル阻害剤を結合したアフィニティ-カラムを作成することを検討中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Anzai,K.,Yoshida,M.,and Kirino,Y.: "Change in Intravesicular Volume of Liposomes by Freeze-Thawing Treatment as Studied by the ESR Stopped-Flow Technique" Biochim.Biophys.Acta. 1021. 21-26 (1990)
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[Publications] Nishie,I.,Anzai,K.,Kirino,Y.,and Yamamoto,T.: "Measurement of Steady-State Ca-Pump Current Caused by Purified Ca-ATPase of Sarcoplasmic Reticulum Incorporated into a Planar Bilayer Lipid Membrane" J.Biol.Chem.265. 2488-2491 (1990)
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[Publications] Kirino,Y.,Hirashima,N.,and Saito,Y.: "Patch-Clamp Measurement of Ion Channels in Biomembrane Vesicles Reconstituted into Giant Proteoliposomes by Freeze-Thawing without Use of Detergent" Methods in Neurosciences. 4. (1990)
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[Publications] 桐野豊: "“電子スピン共鳴"(新基礎生化学実験法第5巻、「高次構造・状態分析」松橋通生、中嶋暉躬編)" 丸善, pp107-126 (1989)
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[Publications] 桐野豊、小沢俊彦: "ESR実験法" 廣川書店,