1989 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体中に生成する電荷移動状態の性質-共鳴ラマン散乱による研究-
Project/Area Number |
01470005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶本 興亜 東京大学, 教養学部, 助教授 (30029483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 健二 東京大学, 教養学部, 助手 (30150288)
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Keywords | 超臨界流体 / 電荷移動 / 共鳴ラマン分光 |
Research Abstract |
本年度はN,N-ジメチルアミノベンゾニトリル(DMABN)について共鳴ラマン分光の予備的実験を行なった。予算上の制約から、当初の設備拡充の予定をかなり変更し、分光器は既存の小型のものを用いる代りに、レ-ザ-光強度を増加させて、分解能よりもシグナルを強くすることとした。設備備品はこのような目標のもとに購入した。 まず、DMABNをYAGの4倍波(266nm)で励起し、2倍波でラマン散乱を観測することを試みたが、電荷移動(CT)発光の長波長端がラマン散乱光にかぶるため、50nsのゲ-トをかけてもS/N比の改善が望めないことが明らかとなった。次いで、励起光そのものをラマン光源として用い、260nm附近の散乱光をモニタ-する方法を試みた。この波長領域には発光はなく、散乱光のみが観測される。この結果、240、380、550cm^<-1>にラマン散乱が観られたが、それらの強度のレ-ザ-強度依存性を調べたところ、いずれのピ-クでもレ-ザ-光強度増加に伴う散乱光の二次の増加は見られなかった。このことから、これらのピ-クは基底状態DMABNのものであると考えられる。266nm励起によって励起状態のラマン散乱が観測されないのは、おそらくS_1あるいはCT状態からの共鳴吸収波長がその附近にないためと思われる。 以上の問題点を解決するために、(1)二つのレ-ザ-を用いて、励起波長とラマン励起波長の種々の組み合せを深る。(2)DMABNより長波長にCT状態からの吸収がある9-アントリル-N,N-ジメチルアニリン(ADMA)を対象として研究する。(3)20ns程度の更に短いゲ-トをかけることによって発光の影響を抑える。などの方向を検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] O.Kajimoto,K.Yamasaki,K.Honma: "Intramolecular Charge-transfer Reactions Studied in a Supercritical Fluid of Varying Densities and in a Molecular Bram" Faraday Disc.Chem.Soc.85. 65-75 (1989)
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[Publications] K.Honma and O.Kajimoto: "Crossed Beam Study of the Reaction of van der Waals Molecule. H+(NO)_2->HNO^*+NO" J.Chem.Phys.92. 1657-1660 (1990)
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[Publications] A.Morita and O.Kajimoto: "Solute-solvent Interaction in Nonpolar Supercritical Fluid:A Clustering Model and Size Distribution" J.Phys.Chem.94. (1990)