1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 宣次郎 九州大学, 理学部, 助教授 (70001849)
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Keywords | 炭素陽イオン / シグマ関与機構 / シグマ共役 / 超共役 / βケイ素効果 |
Research Abstract |
αーペンタメチルジシラニルベンジルブロミド(1ーBr)のソルボリシス速度はαートリメチルシリルベンジルブロミド(2ーBr)に比べて、1.52×10^5[97%水性トリフルオロエタノ-ル(97TFE)中、25℃]もの加速がみられ、かつ、生成物は100%シリル基の転位を伴うことを見いだした。この顕著な加速と隣接基の転位は従来の機構論によれば、σ関与を裏付ける特徴であるが、以下に挙げる実験結果からσ関与機構は完全に否定され、超共役安定化に基づくσーπ共役系であることが明らかになった。第一に、1ーBrおよび1ーClのソルボリシスの溶媒効果解析では、溶媒イオン化能定数V_xに対する感度mは実質的に1.0であり、1がイオン化律速のK_c基質であること、第二に、LArSR式による置換基効果解析では、共鳴要求度パラメ-タ-rは、αーアルキルベンジル炭素陽イオン生成に特有ともいうべき1.16を示し、K_c基質であるαーアルキルベンジルハライドと同一の機構で進行していること、第三に、αー重水素二次同位体効果k_H/k_Dは1.19(97TFE)であり、1のソルボリシス遷移状態構造が、sp^2炭素陽イオンに極めて近いことを明白に示している。更に興味深い事実は、同じ隣接したSiーSi結合でも、2,2,3,3ーテトラメチルー2、3ージシラー1ーインダニルクロリド(3)と2,2ージメチルー2ーシラー1ーインダニルクロリド(4)のソルボリシス速度比k(3)/k(4)=0.2が示すように、生成する炭素陽イオンのpー軌道に直行するSiーSi結合には全く加速効果が無いことであり、1に見られる顕著な加速の本質がSiーSi結合の超共役であることを実証することができた。反応中心炭素上の正電荷がSiーSi結合に分散していることは、上述の置換基効果のρ値ー3.71が二級ベンジル炭素陽イオン生成に予想される値(>ー5)よりもかなり減少していることから裏付けられ、σーπ共役がr,m値を変化させずにρ値だけを減少させるという重要な事実が明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] N.Shimizu: "Solvolysis of 2-pentamethyldishldisilanylbenzyl Halides and 2,2,3,3-Tetramethy1-2,3-disila-1-indanyl Chloride." J.Am.Chem.Soc.