1989 Fiscal Year Annual Research Report
天然起源の大気中超微量ハロカ-ボンと低級炭化水素の大気中濃度とその支配要因
Project/Area Number |
01470031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
巻出 義紘 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40011746)
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Keywords | 大気中微量気体 / 低温濃縮 / ガスクロマトグラフ / 質量分析 / ハロカ-ボン / 塩化メチル / 低級炭化水素 / 氷床コア |
Research Abstract |
成層圏オゾン層を破壊する人工の長寿命フロンの使用が国際的に規制されることになったが、大気中には天然起源のハロカ-ボンとして塩化メチルが高濃度に存在する。しかしその検出は極めて困難であり、大気中における正確な濃度や挙動がまだ良く分かっていない。人類活動が始まる以前から現在の濃度に近く変動していないと仮定されているが、確認されていない。 本研究では、これら天然に発生源を持つ塩化メチル等のハロカ-ボン類ならびに非メタン系低級炭化水素を検出定量するための超高感度分析装置を試作し、これら微量気体の大気中における正確な濃度、分布、変動を調べるとともに、南極氷床コア試料中に閉じ込められた太古の空気の中の塩化メチルなどを分析して過去の大気中濃度を調べ、その濃度を支配している要因を明らかにし、将来の地球環境への影響を評価する。 本年度の主な研究成果は下記の通りである。 1)大気中の超微量成分を低温濃縮するために、新たに全金属製真空ラインを製作し、大量の大気試料から微量気体成分を効率的に濃縮する条件を検討した。 2)既存のガスクロマトグラフを改造して濃縮大気試料導入部を設置して、低温濃縮した微量気体成分を分離カラムに導入する条件を検討した。 3)新たに質量分析型微量成分測定装置を購入し、ガスクロマトグラフに結合して、ガスクロマトグラフで分離された各成分について質量分析検出器による分析を試みた。 4)マルチカラムシステムおよびキャピラリ-カラムを用い、カラム温度、昇温条件などの分離操作条件しを検討した。 次年度は分析条件を検討する一方、北半球中緯度における大気中濃度と変動、グロ-バルな広域分布や成層圏内の高度分布などを調べる。
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