1989 Fiscal Year Annual Research Report
黒曜石の化学組成-遺跡出土黒曜石石器の原産地推定の基礎として
Project/Area Number |
01470033
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大沢 真澄 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70019462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 修治 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (30107718)
斎藤 昭 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60133112)
渡辺 賢寿 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40092473)
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Keywords | 原産地黒曜石 / 遺跡出土黒曜石石器 / 原産地推定 / 微量成分元素存在量 / 機器中性子放射化分析 / ICP発光分光分析 / 多変量解析 / クラスタ-分析 |
Research Abstract |
本研究では、先史時代(先土器時代、縄文時代)文化層の遺跡より出土した黒曜石石器の原産地推定を目的として、原産地黒曜石ならびに遺跡出土黒曜石石器試料の微量成分元素存在量にもとづく多変量解析・クラスタ-分析による原産地黒曜石の識別・分類について検討を行った。さらに、これらの検討結果をもとに先史時代遺跡出土黒曜石石器の原産地推定法を確立した。 これまでに、本邦産黒曜石の原産地に関して、本年度以前のものも含めて、北海道、東日本(東北地方、関東地方およびその周辺地域)、隠岐、九州地方などの原産地について、試料収集は、ほぼ完了した。本年度、現地調査として九州地方、長野県和田峠、神津島、伊豆半島を中心に行なった。特に、九州においては、佐賀県有田地域に有田地域白川流域に新たな原産地黒曜石として黒曜石の原石を発見した。露頭の確認までは至らなかったが、有田流紋岩として有名な地域であり、同地域の腰岳との関連においても注目される。原産地黒曜石石器の化学組成の決定には、微量成分元素存在量を中心に、機器中性子放射化分析、ICP発光分光分析を用いた。 原産地黒曜石の識別・分類に関しては、多変量解析・クラスタ-分析の適用を行った。クラスタ-分析において、化学組成(元素存在量)を変数として取り扱うことになるが、この場合の統計学上の問題点について、今年度はとく階層的クラスタ-分析の諸方法による、併合関係、類似度、併合距離等の違いについて具体的に検討し、黒曜石の識別・分類に最も適用可能な方法を選択した。遺跡出土黒曜石試料の原産地推定を前提に、各原産地間について判別分析によって明確に識別された。したがってクラスタ-分析の適用が有効であると判断された。また、次年度に向けての、遺跡出土黒曜石の入手準備も進んでいる。
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