1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470045
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 巍 東北大学, 理学部, 助教授 (80004349)
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Keywords | テクネチウム錯体 / アセチルアセトン錯体 / チオ尿素錯体 / EDTA錯体 / 塩基加水分解反応 |
Research Abstract |
テクネチウムは、錯体化学の分野にとどまらず、その応用としての放射薬品としても注目されている元素である。また安定同位体が存在せず、すべて放射性同位体であることから、その後処理にも注意を払わねばならない点が他の元素と極めて異なる点である。このような観点を基にして以下の研究を行った。 1.トリス(β-ジケトナト)テクネチウム(III)錯体の塩基加水分解反応機構 トリス(アセチルアセトナト)テクネチウム(III)は置換不活性であり、酸性溶液では極めて安定である。しかしアルカリ性溶液においては塩基加水分解反応が室温においても認められる。分解反応速度は、水酸化物イオン濃度が低い領域では、その1次に比例するが、高くなるとその2次に比例するようになる。反応速度定数の温度依存性より求められた活性化エントロピ-の値が負であることから、水酸化物イオンは会合的攻撃により配位子の結合をはずし、塩基加水分解反応が進行することが認められた。またテクネチウムは、これまで我々が確立したテクネチウム(IV)および(V)β-ジケトン錯体の塩基加水分解反応と同様に最終的には過テクネチウム酸イオンになる。このことは、テクネチウムの廃液からの回収方法を確立する上で重要な知見である。 2.テクネチウム(III)チオ尿素錯体とEDTAとの置換反応機構 テクネチウム(III)錯体合成の出発物質として我々が開発したテクネチウム(III)チオ尿素錯体とEDTAとの置換反応は、pH2〜4の領域において室温でも比較的速やかに進行し、チオ尿素錯体とH_2edta^<2->との反応速度定数Rは、k=(2.1【plus-minus】0.2)×10^<-2>M^<-1>S^<-1>(25℃)と求められた。この結果を基に、マイクロ量のテクネチウム(III)EDTA錯体の合成・単離の方法を検討中である。
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Research Products
(1 results)