1990 Fiscal Year Annual Research Report
レ-ザ-照射NMR法による金属錯体の励起状態に関する基礎的・応用的研究
Project/Area Number |
01470048
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
冨安 博 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (50016854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立屋敷 哲 女子栄養大学, 栄養学部, 助手 (00076192)
原田 雅幸 東京工業大学原子炉工学研究所, 教務職員 (20156516)
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Keywords | ウラニル / レ-ザ- / 光誘起反応 / NMR / 配位子交換反応 / 速度と機構 / 光励起 |
Research Abstract |
本年度は,レ-ザ-照射NMR装置を用い,ウラニル錯体の配位子交換反応の光誘起効果に関する研究を行なった。研究の対象とした反応は,(1)テトラフルオロウラニル〔UO_2F_5〕^<3->におけるF^-の交換反応,(2)ウラニルアクアイオンUO_<2(ag)>^<2+>と水分子との間の酸素交換反応,の二つで前者はウラニル赤道面での交換,後者は軸方向での交換であるが,本研究の目的は両者の光誘起効果の違を調べることにある。(1)の反応では,4℃から30℃の間で暗反応およびそれと同じ条件でアルゴンイオンレ-ザ-(波長488nm,出力1.0W)を照射して交換速度を測定した。その結果,この反応では光誘起効果は全く見られなかった.このことは先に報告したビス(アセチルアセトナト)ウラニル〔UO_2(acac)_2dmso〕におけるacacの分子内交換反応が光誘起効果を受けることと異なる。反応(1)が光誘起効果を受けないことはこの反応が会合機構型であることを考慮すると合理的に説明される.すなわち,会合機構では,〔UO_2F_5〕^<3->とF^-との間の会合が反応の律速であるから,ウラニルが励起種であっても会合には大きな差がないと考えられる.一方,UO_2(acac)_2dmsoの分子内交換反応のように解離型の反応では,励起種の配位子が反応活性になることは十分に期待され,反応が光誘起効果を受けたものと思われる.反応(2)の光誘起効果の実験は,水に ^<17>O濃縮水を加え,この反応によって増加するウラニル酸素の ^<17>OーNMRシグナルを測定することによって行なった。その結果,暗所では13時間でも全く反応が観測されなかった条件においても,アルゴンイオンレ-ザ-(488nm,0.1W)を照射すると1分で反応が開始し,60分で反応は終了した.この反応(2)における大きな光誘起効果はウラニル軸方向の酸素が励起状態で活性化するためと説明される。今後はレ-ザ-照射NMRを他の金属錯体についても使用し交換反応の光誘起効果に関する研究を行なう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Yamaguchi,M.Harada,Y.Y.Park,H.Tomiyasu: "Nuclear Magnetic Observation of Excited Uranyl Ions" J.Chem.Soc.,Faraday Trans.86. 1621 (1990)
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[Publications] Y.Y.Park,M.Harada,Y.Ikeda,H.Tomiyasu: "Photochemical Reaction of Uranyl Ion in Aqueous Phosphoric Acid Solutions" J.Nucl.Sci.Technol.28. (1991)
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[Publications] Y.Y.Park,Y.IKeda,M.Harada,H.Tomiyasu: "Oxidation of Uranium(IV) by Nitrite Ion in Dimethyl Sulfoxide.Evidence of Direct Oxygen Transfer." J.Chem.Soc.,Chem.Commun.(1991)