Research Abstract |
本年度は、Li,B,Cl,K,Co,Cu,Rb,Sr,Y,Rh,I,Cs,Ba,La,Au,Biの単体又は化合物を東北大核理研電子線ライナックの(平成2年7月)及び東大核研電子シンクロトロン(ES)の(同6月及び11月)で90ー1000MeVの照射を行なった。これらのうち,(a) ^7Li, ^<11>B, ^<41>K, ^<87>Rb, ^<88>Sr, ^<103>Rh, ^<127>I, ^<133>Cs, ^<139>Ba及び ^<197>Auは(γ、π^+)あるいは(γ、π^-xn)型のπ中間子放出反応の、(b) ^<87>Rb, ^<133>Cs, ^<139>La, ^<197>Au, ^<203>Biは核破砕反応の、(c) ^<63、65>Cu, ^<35、37>Cl, ^<59>Co, ^<89>Yは ^<7、10>Be, ^<22、24>Naなど軽核を作るフラグメンテ-ション過程の収率測定を目的とした。 その結果、(a)については、(1)反応断面積はきれいな(3,3)共鳴を示すこと、(2)(γ、π^±)反応は標的質量A_t≦130〜140では表面反応で説明できるが、その断面積比は標的核のN/Z比の3〜5倍の値を示すこと、(3)他方、(γ、π^-xn)反応(x=1〜9)のA_t依存性は(γ、π^±)反応のそれとは全く異なり、また(4)いずれの反応もA_t≧100〜140でlimitingを示すこと、等が分かった。これらの反応断面積について光子誘起衝突カスケ-ドー蒸発の2段階反応モデルによる計算(PICA)による計算を試みた所、定性的には実験値を再現するが、定量性は悪い。(b)については、標的核(y=0)からy=5〜10にわたる元素について標的当たり計30〜50核種の生成収率を測定し、Rudstamのハドロン誘起核破砕の経験式に非線型最小二乗fitをさせて経験式が含むパラメ-タ-、及び(γ、xn)反応収率の新しい表式を導出した、これらの表式は、(1)A_t≦140に対して100≦E_0≦1000MeVで再現性がよく、(2)A_t≦140の重核では更に実験が必要であるが、A_t≦140での傾向と異なること、等が分かった。また、(3)E_0依存性は巨大共鳴、準重陽子共鳴及び(3,3)共鳴を基に良く説明でき、励起エネルギ-の観点からハドロンとは異なる脱励起過程を考察できた。更に(4)核破砕についてもPICA code計算は、V,Co等中重核破砕の再現性はよいが、A_t≧130の重核での再現性は悪く、励起機構及び断面積の入力パラメ-タの再検討を要することが分かった。(c)の軽核を作る光核反応については、(1) ^<22、24>Naの生成は核破砕残留核として説明できるが、(2) ^<7、10>Beは特異なフラグメンテ-ション過程で作られ、多数のα粒子と共に放出されることが示された。
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