1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470057
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
江島 辰彦 東北大学, 工学部, 教授 (80005206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 守 東北大学, 工学部, 助手 (30213599)
朱 鴻民 東北大学, 工学部, 助手 (40216148)
佐藤 讓 東北大学, 工学部, 助教授 (80108464)
山村 力 東北大学, 工学部, 助教授 (80005363)
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Keywords | 溶融塩 / 粘弾性 / 極超音波 / 音速 / 吸収係数 / ブリュアン散乱 / 塩化亜鉛 / アルカリ金属塩化物 |
Research Abstract |
溶融塩を反応媒体や熱媒体として用いる技術開発の進展に伴い、融体内で生ずる反応機構を解明し、これを制御するためには融体の物理化学的性質の理解が不可欠である.本研究ではブリュアン散乱法により、ギガヘルツ(10^9Hz)域の粘弾性挙動を明らかにし、構造との関連を検討することを目的とした. 前年度までの実験でZnCl_2を対象として、800Kの高温まで音速の測定を行い、1GHz付近に音波伝播の緩和周波数が存在することが分かった.本年度はZnCl_2ーNaCl二成分系を対象とし、音速および緩和現象に対してさらに詳細な知見が得られる吸収係数を測定し、アルカリ金属塩化物の添加が粘弾性挙動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.本年度に行なった実験項目および得られた成果は次の通りである. 1.屈折率はブリュアン散乱法で音速を決定するために不可欠な物性値であるZnCl_2ーNaCl二成分系融体については文献値が皆無であった.そこでZnCl_2ーNaCl二成分系融体の可視光域における屈折率を0.01%の高精度で最小偏角法により決定した. 2.ZnCl_2ーNaCl二成分系融体中の極超音波の吸収係数をZnCl_2富側の組成で測定した.吸収係数を決定するにはブリュアンピ-クの線幅およびピ-ク位置を精度よく決定する必要がある.これを行なうためにスペクトルをいったんデジタル化したうえでパ-ソナルコンピュ-タに記憶させ、数学的に波形分離を行った.このようにして、吸収係数を8%の精度で決定できた. 3.音速および吸収係数の組成および温度依存性を決定し、その結果に基づき、ZnCl_2ーNaCl二成分系融体の構の組成および温度変化を明らかにした.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 江島 辰彦,山村 力,佐藤 讓,斉藤 俊仁,丹 和夫,朱 鴻民: "溶融アルカリ金属炭酸塩の超音波音速および吸収係数" 日本金属学会誌.
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[Publications] 江島 辰彦,山村 力,佐藤 讓,熊井 倫弘,佐藤 芳幸: "溶融ZnCl_2ーNaClおよびZnCl_2ーKCl二成分系融体のブリュアン散乱" 日本金属学会誌.
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[Publications] 遠藤 守,早坂 敏明,佐藤 讓,山村 力,江島 辰彦: "溶融アルカリ金属ハロゲン化物単塩の光屈折と電子分極率" 熱物性5. 5. 6-11 (1991)
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[Publications] 水野 茂,仁藤 丈裕,遠藤 守,佐藤 讓,山村 力,江島 辰彦: "溶融ZnCl_2ーMCl(MiLi,Na,KおよびCs)二成分系融体の光屈折" 日本金属学会誌.