1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山邊 時雄 京都大学, 工学部, 教授 (80025965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 明知 京都大学, 工学部, 助手 (40135463)
田中 一義 京都大学, 工学部, 助教授 (90155119)
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Keywords | 有機強磁性体 / 高分子磁性体 / アルキレン・アロマティック高分子 / 分子反磁性 / 磁気物性 / 環電流 / 完全反磁性 / 磁化率 |
Research Abstract |
本年度実施した研究は以下のように2通りに大別できるが、その実施大要と実績を併せて記載することにする。 1.本研究のうち実験の部では、主として熱処理法による高分子磁性体材料の作製を行って、磁化率測定及び電子スピン共鳴測定による磁気物性解析を行った。材料作製にあたっては、赤外線ゴ-ルドイメ-ジ炉を用いて予め調製しておいたアルキレン・アロマティック系樹脂を加熱処理し、所期の物質を得ることができた。 磁化率測定は極低温〜室温の範囲で行い、ブリルアン解析を行ったところ、電子スピンの多重度がS=1/2以上の値を示すことを見出した。これは何らかの強磁性配列を含む電子構造が存在していることを示しており、電子スピン共鳴測定と併せて現在さらに研究を続行している。 2.上記の実験的研究と並行して、理論の部では量子化学的見地から強磁性配列を持つ高分子の電子状態の解析及びその分子設計についての研究を行っている。理論的計算法としては非制限的ハ-トレ-・フォック法に基く結晶軌道法解析プログラムを新たに開発・作製し、磁性を示すことが期待できる高分子の電子状態解析を行った。この解析によると例えばポリ(m-フェニルカルベン)のような高分子は基底状態で強磁性配列を示すことが期待され、またこの他にポリアニリンのような導電性高分子でも、濃ド-プ時においてはポラロン的磁性が存在しうるなどの結果を得ており、現存する実験との一致も良好である。 さらに特異的な磁性として、平面型大縮合芳香環型クラスタ-の反磁性的性質、及び環電流の理論的見積りも行った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Tanaka: "The Electronic Structure and Magnetic Properties of Poly(m-phenylcarbene)" J.Molecular Structure(THEOCHEM). 188. 313-320 (1989)
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[Publications] K.Tanaka: "ESR Studies of Polycondensate of Fused Polynuclear Aromatics(COPNA)Resin with Ferromagnetic Behaviour" Solid State Communications. 71. 627-628 (1989)
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[Publications] K.Tanaka: "Electronic Structures and Ring Currents in Planar Carbon Microcluster Models" International Jouranl of Quantum Chemistry:Quantum Chemistry Symposium. 23. 641-649 (1989)
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[Publications] K.Tanaka: "Magnetic Property Measurement of Simple Alkylene-Aromatic Polymers"