1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子の化学的特性を活用する小員環化合物の骨格変換
Project/Area Number |
01470089
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大城 芳樹 大阪大学, 工学部, 教授 (70028984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 俊一 大阪大学, 工学部, 助手 (90116088)
小松 満男 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029197)
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Keywords | ヘテロ原子 / 小員環化合物 / シクロプロパン / 環開裂 / 骨格変換 / ヘテロ環化合物 |
Research Abstract |
小員環化合物の大きな環歪みと、環構成あるいは環隣接のヘテロ原子の化学的特性を活用し、環開裂を伴う新規な骨格変換法の開発を目的として研究を行った。本年度は多官能シクロプロパンやヘテロ三員環をとりあげ、これらの合成法の確立、化学的特性の解明、環変換を利用する新規合成反応の開発などを展開した。以下にその成果を要約する。 1.多官能シクロプロパンの合成法を確立した。例えば他の官能基を併せもつシリルシクロプロパン類や、ハロシクロプロピルイソシアナ-トおよびイソチオシアナ-ト類の合成法を明らかにした。 2.ジブロモシクロプロパンカルボン酸エステルの塩基あるいは酸処理により、生理活性に興味がもたれているブロモブテノリドが合成できることを見出した。収率向上のための反応条件等の検討を続けている。 3.ジブロモシクロプロピルイソシアナ-トから容易に得られる尿素誘導体をメトキシドと反応させると容易に開環し、生成物をシリカゲルで処理すると高収率でイミダゾリノン環を形成することを見出すとともに、その反応機構を完全に解明した。セミカルバジド誘導体の塩基処理では一段階でブロモビニル基を有するトリアゾリジノン環が合成できた。 4.上記のジブロモシクロプロピル尿素が塩基処理により開環し、ヘテロ環合成試薬として有用なアザジエンを与えることを明らかにした。この中間体とエナミンのシクロ付加ではジヒドロピリジン環を得た。 5.1ーブロモー1ートリメチルシリルシクロプロパンをフッ素イオンで処理すると生成するアニオン種を活用する官能基変換や、銀塩との反応で臭素とシリル基がともに脱離し開環したアレンの生成を明らかにした。本反応の中間体を活用する合成反応について検討中である。 6.ジアジリジノンの環拡大反応によるオキサジアゾリノン、ジアゼチジノンなどのヘテロ中員環合成ル-トを開拓した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Ohshiro et al.: "Synthesis of β-Bromobutenolide from 2,2-Dibromocyclo-propanecarboxylate" Chem.Lett.
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[Publications] Y.Ohshiro: "Preparation of Dihalocyclopropyl Isocyanates and Their Application to Heterocyclic Synthesis" J.Org.Chem.