1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高谷 秀正 京都大学, 工学部, 教授 (40022644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 哲男 京都大学, 工学部, 助手 (50213731)
真島 和志 京都大学, 工学部, 助手 (70159143)
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Keywords | 不斉合成 / 不斉水素化反応 / 接触不斉水素化反応 / 錯体合成 / 触媒 |
Research Abstract |
理想的な触媒前駆体の開発を目的として、カチオン性ルテニウム-BINAP錯体の合成を行った。すなわち、三塩化ルテニウムから容易に合成できる〔RuX_2(benzene)〕_2とし当量の(S)-BINAPをエタノ-ル-ベンゼン中50〜55℃で反応させることにより〔RuX((S)-BINAP)(benzene)〕×(1a:x=Cl,1b:x=Br,1c:x=I)が容易に高収率で得られる。錯体1aの塩素イオンはBF_4,Bph_4と簡単に置換反応をおこし〔RuCl((S)-binap)(benzene)〕BF_4(1d)もしくは〔Rucl((S)-binap)(benzene)〕Bph_4(1e)を与える。これらの錯体の中で1cは溶液中すぐにベンゼン配位子を解離する。同様にp-シメン錯体も〔RuX_2(p-cymene)〕_2から高収率で合成でき、対応する〔RuX((S)-binap)(p-cymene)〕x(1f:x=Cl,1g:x=Br,1h:x=I)が得られた。この場合、1h錯体は、ベンゼン配位子の場合と異なり溶液中でも安定であった。錯体1dは、X線結晶解析によりその構造が明らかとなった。Ruは、塩素原子、BINAPの2つのリン原子、三座配位のベンゼン配位子を頂点とするゆがんた8面体構造をしており、又、BINAPの2つのナフチル環のなす角度も75.7°と、これまでわれわれが合成したRu(OCOC(CH_3)_3)_2((S)-binap)よりも大きな値を示し特徴的である。 錯体1は、高純度、高収率で得ることができるのみならず、触媒反応条件下で容易に反応活性種を発生し、多くの不飽和化合物の不斉水素化反応に高い活性と高い選択性を示す。たとえば、メチルアセトアセトネ-トは、メチル(S)-3-ヒドロキシブチレ-トに97〜99%eeで還元される。ゲラニオ-ルも又2hの存在下、シトロネロ-ルに96%eeで水素化されるし、坑炎症剤ナプロキセンが96%eeで対応する不飽和カルボン酸から合成された。このカチオニック錯体1は、ラセミ体の2位に置換基を有するβ-ケトエステル類(たとえば2-N-ベンゾィルアミノメチル-3-オキソブタノエ-ト)の水素化反応において高いジアステレオ選択性を示す。 このように新規高活性不斉触媒を容易に合成する手法を確立した。
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[Publications] 野依良治: "New chiral Ruthenium Complexes for Asymmetric Catalytic Hydrogenation" Acc.Chem.Res. (1990)
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[Publications] 野依良治: "Stereoselective Hydrogenation Via Dynamic Kinetic Resolution" J.Am.Chem.Soc.111. 9134-9135 (1989)
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[Publications] 真島和志: "Synthesis of New Cationic BINAP-Ruthenium(II)Complexes and their Use in Asymmetric Hydrogenation〔BINAP=2,2′-bis(diphenylphosphino)-1,1′-binaphthyl〕" J.Chem.Soc,Chem.Commum. 1208-1210 (1989)
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[Publications] 高谷秀正: "(R)-(+)-and(S)-(-)-2,2′-Bis(diphenylphosphino)-1,1′-binaphthyl" Org.Synth. 69. 20-32 (1988)
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[Publications] 太田哲男: "BINAP-Ruthenium(II)Dicarboxylate Complexes:New,Highly Efficient Catalysts for Asymmetric Hydrogenations" Inorg.Chem. 27. 566-569 (1988)
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[Publications] 北村雅人: "Homogeneous Asymmetric Hydrogenation of Functionalized Ketones" J.Am.Chem.Soc.110. 629-631 (1988)
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[Publications] 高谷秀正: "Future Opportunities in Catalytic and Separation Technology" Elsevier, 18 (1990)