1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮野 健次郎 東京大学, 工学部, 助教授 (90167677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 政嗣 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10136525)
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Keywords | ポリイオンコンプレックス / ポリマ-吸着 / 単分子膜 / ATR法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、水面上に展開された単分子膜と、水溶性ポリマ-とのイオンコンプレックスが、水面上で実際どのように形成されるのかを知ることである。この目的のために、減衰全反射(ATR)法を用いて、吸着されたポリマ-の厚さを、その場で、すなわち単分子膜が水面上にある状態で測定した。 1.単分子膜にATRのプリズムの底面を上から押し付ける構造を用いた。このため、光学系が鉛直面内を回転走査する複雑なものとなり、まずこの部分の設計・製作を行い、測定に必要な0.05°程度の再現性を得ることができた。 2.上記のプリズムに下から単分子膜を接触させるような、上下方向可動の水槽を作製した。水溶性ポリマ-が下部水相中に注入されると、基準となる水の表面張力も変化するので、表面圧測定に普通用いられているウイルヘルミ-法のかわりに、ラングミュア法を採用した。 3.まず、空気中でBK-7ガラスプリズムとLB膜との組合せによって、装置の精度を確認し、デ-タフィッティングのプログラムの開発を行った。 4.プリズムをより屈折率の大きいSFS-1ガラスにかえて、目的の実験を行った。まだ予備実験の段階であるが、すでに以下のような興味ある知見が得られている。 (1)吸着が始まるポリマ-の濃度は分子量が小さいものほど高い。 (2)分子量が小さいものでは、0.001〜0.01mMの間でほぼ吸着が完了し、これ以上高濃度でも変化が無いのに対し、高分子量のものは引続き吸着が起こり、しかもその吸着膜厚はかなり不均一である。また、分子量が小さいものでも、その厚さは35Aもある。 単分子膜・ポリイオンコンプレックスでは、LB膜状態での研究から、平板的な1:1構造が水面上でも出来ていると予想されていたが、この結果はこの予想とは全く反するものとなっている。次年度では測定をより定量化するとともに、蛍光法も併用して密度分布についての知見を得るように努める。
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[Publications] M.Shimomura,H.Hashimoto,T.Kunitake: "Controlled Stilbene Photochemistry in Ammonium Bilayer Membranes" Langmuir. 5. 674-680 (1989)
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[Publications] S.Kirstein,H.Mohwald,M.Shimomura: "Crystalline Two-Dimensional Domains of Cyanine Dyes at Interfaces" Chem.Phys.Lett.154. 303-308 (1989)