1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470103
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
功刀 滋 福井大学, 工学部, 助教授 (70111929)
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Keywords | タンパク質 / 高圧力 / 変性 / タンパク質分解酵素 / 電子伝達 |
Research Abstract |
タンパク質は、高い圧力により変性や相互作用の変化をきたすことが知られている。本研究では、より基礎的な側面での酵素・タンパク質における圧力の利用を考えた。圧力を変性剤として利用することには、通常用いられる化学的変性剤とは異なり、処理後に変性剤の除去操作が要らないという大きな利点がある。本年度は、変性状態でタンパク質をプロテア-ゼによって限定分解すること、および化学修飾することを試みた。対象タンパク質には一次構造などいくつかの性質がわかっており、良質純品が入手しやすいという理由からまずBSAを取り上げた。 BSAにサ-モライシンを数千気圧で作用させると、分子量48000あたりに分解生成物が得られる。われわれは既に加圧下においてサ-モライシンの低分子基質に対する活性が10倍以上になることを報告しているが、高分子性の基質(熱変性BSA)での作用ではむしろ(加圧下で)活性低下が見られることから、上記の結果は加圧により、BSAのコンフォメ-ションが崩れたことが主要な原因であると考えられる。この限定分解の部位を、C末端、アミノ酸分析によって特定した。 一方、高分子化電子メディエ-タ-として知られる、フェロセン誘導化BSAの調製を、圧力変性下で行なった。得られたFc-BSAの鉄原子吸光分析から、BSAI分子に結合しているFcの個数を計算したところ、圧力変性で調製したFc-BSAには6M尿素変性や、コントロ-ルよりも多くのフェロセンが含有されていることがわかった。
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