1989 Fiscal Year Annual Research Report
斬新なリポソ-ム複合体(プロテオリポソ-ム)の調製と機能に関する研究
Project/Area Number |
01470104
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
滝澤 章 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90016262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 隆利 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (60135407)
辻田 義治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70016591)
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Keywords | ポリ(γ-メチルLグルタメ-ト) / 単分子膜 / 両親媒性シ-クエンシャルポリアミノ酸 / 二分子膜系 / リポソ-ム複合体 / イオンチャネル / 会合体 / ミサイルドラッグ |
Research Abstract |
水面に展開したポリ(γ-メチルLグルタメ-ト)(PMLG)単分子膜を固体状態の表面圧を示すまで圧縮して回転、併進などの分子運動を抑え、この状態でPMLG分子の下方の側面のみを鹸化反応して特異な両親媒性シ-クエンシャルポリアミノ酸を得た。この調製において、単分子膜表面圧力測定装置(日本レ-ザ電子(株)製)を設備として購入し、鹸化反応時のPMLG単分子固体膜の表面圧力を高精度で調整することにより、純度の高い両親媒性シ-クエンシャルポリアミノ酸(am.-MG/GA)を得ることに成功した。得られた同ポリアミノ酸のシ-クエンスは、V8プロテア-ゼを用いた酵素分解と、それにより得られたオリゴマ-のゲルフィルトレ-ションクロマトグラフィ-に基づく分子種分析によって確認され、am.-MG/GAヘリックス分子の片側面1/3のみにグルタミン酸残基が存在することが裏付けられた。またam.-MG/GAはは各種有機溶媒をはじめ中性pHの水溶液にも可溶であることからその両親媒性が確認され、その負の溶解熱(-3.14Kcal/mol)やネガティブ染色法を用いた電子顕微鏡観察により、am.-MG/GA分子は水溶液中で安定なミセル状の会合体を形成して存在することを明らかにした。一方、am.-MG/GA-二分子膜系からなるリポソ-ム複合体においては、同ポリアミノ酸分子は親水性側面を互いに向け会った逆ミセルとして存在し、分子6本が会合してイオンチャネル様の集合体を形成することを、電子顕微鏡観察より確認するに至った。これらの結果は、本研究の当初の主たる目的が達成された状況にあることを示すものである。さらにこの両親媒性シ-クエンシャルポリアミノ酸の6本会合体は、実際にイオンの透過通路として有効であるとの基礎的知見も既に得ており、“ミサイルドラッグ"等の応用分野に対する同リポソ-ム複合体の有用性が期待される。
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[Publications] M.Higuchi,T.Kinoshita A.Takizawa and T.Tsujita: "Effect of hydrophobicity of anionic copolypeptides on the structure and functions of cationic bilayer membrane" Polymer Journal. 21. 295-302 (1989)
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[Publications] M.Higuchi,T.Kinoshita,A.Takizawa,Y.Tsujita and K.Okochi: "A simple method for the preparation of an amphiphilic sequential polypeptide" Macromolecules. 23. 361-365 (1990)
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[Publications] M.Higuchi,T.Kinoshita,A.Takizawa,Y.Tsujita,K.Okochi and N.Hattori: "Channel forming activity of an anionic amphiphilic sequential polypeptide in an anionic bilayer membrane" Macromolecules. (1990)
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[Publications] M.Higuchi,T.Kinoshita,A.Takizawa,Y.Tsujita and K.Okochi: "Channel forming activity of an anionic amphiphilic sequential polypeptide in an cationic bilayer membrane" Bulletin of the Chemical Society of Japan. (1990)
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[Publications] M.Higuchi,M.Nagata,T.Kinoshita,A.Yakizawa,and T.Tsujita: "Membrane potential induced multi-valent metal ion in a palypeptide-phospholipid composite membrane" Polymer Journal. (1990)