1989 Fiscal Year Annual Research Report
剛直な高分子の濃厚溶液に関する研究(熱力学的及び粘弾性的性質)
Project/Area Number |
01470108
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺本 明夫 大阪大学, 理学部, 教授 (00028151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 尚弘 大阪大学, 理学部, 助手 (10196248)
則末 尚志 大阪大学, 理学部, 助教授 (10028227)
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Keywords | 剛直な高分子 / 濃厚溶液 / 熱力学的性質 / 粘弾性 / 高分子電解質 / 浸透圧 / 液晶 / ゼロずり粘度 |
Research Abstract |
当該年度においては剛直な高分子の濃厚溶液の熱力学的性質及び粘弾性的性質につき以下のような研究実績を得た。 1.剛直な高分子電解質ザンサン水溶液における等方ー液晶相平衡挙動をザンサンの分子量及び添加塩(NaCl)濃度Csを変えて調べた。相境界濃度はCsに著しく依存し、ザンサン分子間の静電相互作用が相平衡に重要な役割を演じていることがわかった。また相境界濃度はザンサンの分子量を低くすると急激に上昇した。これらの相境界濃度のCs及び分子量依存性は半屈曲高分子電解質溶液に対するOnsager-Odijk理論によりほぼ定量的に説明できることがわかった。 2.中性の剛直高分子ポリヘキシルイソシアネ-トとシゾフィランの濃厚溶液に対する浸透圧及び等方ー液晶相境界濃度の実験結果を統一的に説明するため、低分子液晶系に対して提案されたscaled particle理論を半屈曲性高分子溶液系に適用できるよう拡張した。そしてこの拡張scaled particle理論はこれまでに報告されている浸透圧及び相境界濃度の実験デ-タをうまく説明できることを示した。 3.剛直な高分子電解質ザンサン水溶液の稀薄から等方濃厚領域にわたってゼロずり粘度η_0を9個の分子量の異る試料につきCsを変えて測定した。η_0は強い高分子濃度及び分子量依存性を呈した。特に後者は屈曲性高分子濃厚溶液の場合よりもずっと強い依存性を示した。これに対しη_0はCsにはほとんど依存しなかった。実験結果の内ザンサンが剛直棒と見なせる低分子量試料に対するデ-タは、今回Green関数法を用いて定式化した棒状分子溶液に対するη_0の表式とよく適合することがわかった。また高分子量試料については高濃度領域において粘弾性的最長緩和時間の測定を行った。
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[Publications] T.Sato: "Isotropic-Liquid Crystal Phase Equilibrium in Semiflexible Polymer Solutions:Application of Scaled Particle Theory" Mol.Cryst.Liq.Cryst.178. 143-155 (1990)
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[Publications] Takahiro Sato: "Isotropic-liquid crystal phase equilibrium in semiflexible polymer solutions:xanthan,a rigid polyelectrolyte" Polymer. (1990)
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[Publications] Takahiro Sato: "Dynamics of Stiff-Chain Polymers in Isotropic Solution:Zero-Shear Viscosity of Rodlike Polymers" Macromolecules.