1989 Fiscal Year Annual Research Report
両親媒性ポリエチレンオキシドマクロモノマ-の界面化学的性質と重合挙動
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01470111
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 浩一 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (00023119)
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Keywords | マクロモノマ- / ポリエチレンオキシド / 両親媒性 / ミセル / ラジカル単独重合 / 光散乱 / くし型高分子 |
Research Abstract |
分子内に親水性セグメントと疎水性セグメントをもつ両親媒性マクロモノマ-は、水から炭化水素に至る幅広い媒体中でさまざまな会合状態、溶存状態をとり、それに応じて特異的な重合挙動を示すことが期待される。本研究は、種々のアルキル基鎖長、ポリエチレンオキシド(PEO)鎖長を有するPEOマクロモノマ-をモデルとして、その合成、界面化学的性質、重合・共重合挙動、生成ポリマ-の集合体構造を系統的に、詳細に検討することを目的とし、両親媒性マクロモノマ-による組織化重合の基本的知見とする。本年度の成果は以下のとおりである。 (1)メチル、n-ブチル、t-ブチル、n-オクチル、n-オクタデシル基をw-末端に、p-ビニルベンジル基をα-末端に持つ、さまざまな重合度のPEOマクロモノマ-を、アニオンリビング重合を基本として合成した。重合度分布は単分散に近く、末端基純度も高いことを、GPCおよび'H-NMRから確認した。また、非重合性のモデルマクロモノマ-として、α-末端にベンジル基をもった相当するPEOを合成した。 (2)各マクロモノマ-のラジカル単独重合を'H-NMRで追跡し、重合速度は、ベンゼン中よりも水中で圧倒的に早く、水中では、w-アルキル基についてC_<18>>C_8>C_1>n-C_4>t-C_4,またw-メチルの場合、PEO鎖が長いほど、速度の低下することがわかった。 (3)非重合性PEOモデルポリマ-の光散乱測定から、ベンゼン中では分子分散して溶解しているのに対し、水中ではミセル会合体を形成すること、ミセル内会合度と広がりから評価したマクロモノマ-の密集度が(2)に示した重合速度の相対値と密接に関係していることを確認した。 (4)以上の結果から、水中におけるマクロモノマ-の異常に早い重合はミセル形成に基づくことを結論した。また、得られたポリマクロモノマ-の光散乱から、重合度の高いこと、広がりの小さいことを評価した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 伊藤浩一,荒川文隆,田中博茂,橋村和男,伊津野真一: "ポリエチレンオキシドマクロモノマ-(第6報)両親媒性マクロモノマ-を用いた高分子設計" 旭硝子工業技術奨励会研究報告. 54. 105-112 (1989)
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[Publications] K.Ito,K.Tanaka,H.Tanaka,G.Imai,S.Kawaguchi,S.Itsuno: "Poly(ethylene oxide)Macromonomers.7.Micellar Polymerization in Water" Macromolecules.
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[Publications] K.Ito,K.Hashimura,S.Itsuno,E.Yamada: "Poly(ethylene oxide)Macromonomers.8.u-Hydroxypoly(ethylene oxide)Macromonomer" Macromolecules.
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[Publications] K.Ito,Y.Tomi,S.Kawaguchi: "Poly(ethylene oxide)Macromonomers.9.Extremely Compact Conformation of Comblike Homopolymers" Macromolecules.
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[Publications] 伊藤浩一(山下雄也編): "「マクロモノマ-の化学と工業」第3章,第5章" アイピ-シ-, 55( ) (1989)