1989 Fiscal Year Annual Research Report
微生物のアミラ-ゼ及びセルラ-ゼにおける天然結晶基質の分解機構
Project/Area Number |
01470125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林田 晋策 九州大学, 農学部, 教授 (50038197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 貞蔵 九州大学, 農学部, 助手 (80117291)
緒方 靖哉 九州大学, 農学部, 教授 (20038277)
郡家 徳郎 熊本工業大学, 応用微生物工学科, 教授 (00178162)
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Keywords | 糸状菌生澱粉分解性アミラ-ゼ / 糸状菌セルラ-ゼの分類系 / 生澱粉親和部位 / 微結晶セルロ-スに対する親和部位 / シクロデキストリン / C_1及びCx型セルラ-ゼ / 細菌糖化型αーアミラ-ゼ / 生澱粉分解能の阻害 |
Research Abstract |
さきに、生澱粉分解能を有する糸状菌アミラ-ゼは、αもグルコも、すべて“親和部位"と名づけた特異部位を内包していることを明らかにした。本研究は、親和部位の位置、構造及び機能を明確にし、この概念を細菌αーアミラ-ゼ、糸状菌セルラ-ゼにも拡張して、広く微結晶多糖分解能を有する酵素系の全容を解明するものである。 強力な生澱粉分解能をもつ黒麹菌グルコアミラ-ゼ(GAI)分子の生澱粉吸着に関与する親和部位領域は、Ala^<469>ーVal^<513>間に存在し、その45アミノ酸残基中30残基がヒドロキシアミノ酸で占められ、各30残基に平均2残基のマンノ-スが結合するという特異構造を有した。この領域は、生澱粉表面に吸着してミセルの水素結合を切断する機能を有すると考察された。一方、GAIの生澱粉分解能は、シクロデキストリン(CD)の結合によって特異的かつ完全に阻害されたが、生澱粉分解能を有しない酵素には、CDは結合しなかった。また、細菌αーアミラ-ゼのうち、特に還元糖を多量に生成する型では、系状菌アミラ-ゼとは異なり生澱粉へ吸着することなしに生澱粉分解が進行したが、この型のアミラ-ゼもCDの結合によって生澱粉分解のみ特異的に阻害された。従って親和部位の機能は、澱粉ミセルを局部的に水和して単分子化を促進し、さらにこの単分子澱粉を認識して捕足して、活性部位にfitさせ、生澱粉の分解が進行するものと考察される。 この親和部位の概念を、不明の点が多いセルラ-ゼに適用した。アミラ-ゼと同様、親和部位の有無により2大別されるものと仮定し、これにより存在が予想される新規なセルラ-ゼの探索に努めた結果、真のエキソ型と、そのC_1、Cxの存在を明らかにし、さらにエンド型にもC_1とCxを見出し、また天然セルロ-ス分解能をもつC_1に、さらに作用機作を異する多様なセルラ-ゼの存在を認め、新分類体系を提示した。
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[Publications] 林田晋策: "Stracture of Raw-Starch-Affinity Sife on Aspergillus awamori var.Kawachi Glucoamylase I molecule" Agricultual and Biological Chemistry. 53,1. 135-141 (1989)
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[Publications] 林田晋策: "Characteristic and Function of Raw-Starch-Affinity Site on Aspergillus awamori var.Kawachi Glucoamylase I molecule" Agricultual and Biological Chemistry. 53,1. 143-149 (1989)
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[Publications] 林田晋策: "Molecular Cloning of the Glucoamylase I Gene of Aspergillus awamori var.kawachi for Localization of the Raw-Starch-affinity Site" Agricultual and Biological Chemistry. 53,4. 923-929 (1989)