1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470128
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
磯部 稔 名古屋大学, 農学部, 助教授 (00023466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 俊夫 名古屋大学, 農学部, 助手 (90208158)
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Keywords | 生物トキシン / 下痢性貝毒 / オカダ酸 / フグ毒 / テトロドトキシン / 環状グアニジン / 発癌プロモ-タ- / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
海洋生物トキシンの構造や分析法などの化学研究は、食品衛生学的見地から農学の重要分野の一つである。この研究の目的は、(1)下痢性貝毒(DSP)として世界中に猛威を振っているオカダ酸とその類似体に関する微量分析法を確立すること、(2)フグ毒テトロドトキシン(TTX)の微量な類似化合物群を化学変換で構造決定し更に光学活性TTXを立体制御化学合成することである。本年度には、分取用液体クロマトグラフ装置を設置したためテトロドトキシンの粗毒の分離や水溶性合成中間体の分離精製が極めて容易になり研究を効率良く進めることができた。すなわちテトロドトキシンの全合成研究に於て最終段階に設定している環状グアニジンを合成する研究では生成物が水溶性のために分離が困難であったが、本装置により全合成に先立ってモデルによる研究を行うことができた。これからさらに天然テトロドトキシンとは異なる橋かけ構造を持つ環状グアニジン化合物も合成できた。何れも光学活性体であるのでその化学的生物的性質を調べることが次の課題として興味深い。オカダ酸の化学合成については既に終了しているが、化学合成による超微量分析法確立への寄与としてオカダ酸の東半分を合成しこの標品と天然オカダ酸との間の抗体交差性実験を依頼したところ交差性が高いことが判った。天然から得難い強力生物毒の検出にも化学合成が役立つことを示した。本年度は、光学活性なテトロドトキシンの化学合成研究では大きな成果を挙げた。ブロモレボグルコセノンを出発原料として熱環化付加反応によるキラルシクロヘキセン環形成物質に〔3,3〕シグマトロビ-転位反応により3級炭素原子にアミノ酸窒素原子を導入するル-トを開発した。これにより環状グアニジンをもつTTXモデル化合物を合成した。本年度は、キラルなTTXの全合成もこの延長上で完成する計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Duangchan Uyakul,M.Isobe,T.Goto: "Mycotoxin Analysis by means of tandem Mass spectrometry" J.Assoc.Off.Anal.Chem.72. 491-497 (1989)
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[Publications] Duangchan Uyakul,M.Isobe,T.Goto: "FAB Tandem Mass spectra of Aflatoxins,Sterigmatocystin and their analogs" J.of Mycotoxins(Japan). 29. 13-19 (1989)
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[Publications] M.Isobe,D.Uyakul,T.Goto: "FAB-MS/MS spectrometry in Determining γ-Glutamyl Containing Peptides." Agric.Biol.Chem.(1990)
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[Publications] M.Isobe,Y.Fukada,S.Pikul,T.Nishikawa,P.Chabert,T.Goto: "“Stereocontrol in the Bioactive Natural Product Sysnthesis Studies on Tetrodotoxin"NATURAL PRODUCT,Ed.by Radoslav Vlahov" Bulgarian Academy of Sciences, (1990)