1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470132
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
菅野 長右ェ門 宇都宮大学, 農学部, 教授 (30011969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 徳洋 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (30151062)
田中 秀幸 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (70091949)
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Keywords | 牛乳 / 乳脂肪球皮膜 / 乳化 / リボフラビン / ビタミンB_2 / リポタンパク質リパ-ゼ / 脂肪分解 / 腸管吸収 |
Research Abstract |
乳腺細胞の細胞膜に由来する両親媒性の物質である牛乳脂肪球皮膜(MFGM)の機能について、乳化、リボフラビン(RF)の吸収促進、リポタンパク質リパ-ゼ(LPL)の阻害の3点からの研究を行った。 1.乳脂肪とMFGMとから乳脂肪球を再構成するための条件を確立し、次いで再構成乳脂肪球の乳化特性について解析した。乳脂肪球の再構成には乳化時間、MFGM濃度、脂肪濃度、pHが重要な要因であった。乳化特性は、乳脂肪量20ー25%で最大となり、MFGM濃度と共に及びpH7〜9にかけて増大したが、pH5で急激に低下した。再構成乳脂肪球の中心直径は4.97μm、比表面積は15.65m^2/cm^3であった。粘度はpH、乳化時間、MFGM濃度に影響された。吸着蛋白質量は乳脂肪量と共に増加したが、MFGM量と共に減少した。MFGMは優れた天然乳化剤としての機能をもつことを明らかにした。 2.赤血球グルタチオンリダクタ-ゼ(GR)活性を指標としてRF欠乏ラット群を作製して、MFGMのラットにおけるRFの吸収について検討した。RF欠乏ラットにMFGM結合RF及び遊離RFを投与した5週目のGR活性比は1.6ー1.9に戻ったが、これらの間には有意差は認められなかった。しかし、体重増加量では、MFGM結合RF飼養群は、遊離RF群及びペア飼養群よりも勝り、<P0.01で有意差が認められた。微量なRF結合MFGMは腸管上皮細胞におけるRFの取り込みの促進、すなわち、MFGMは生体に代謝の準備を呼びかけるシグナル素子としての情報発現担体として機能として機能していることを明らかにした。 3.乳脂肪球を超音波で破壊し、MFGMの可溶性糖タンパク質と同一の抗原性をもつラクトフォリン(LP)による牛乳固有のLPLの阻害作用について検討した。超音波処理した牛乳のリポリシスは時間の経過と共に直線的に進行するが、これにLPを添加すると、LPはLPLを約70%阻害することを明らかにした。MFGMの可溶性糖タンパク質及びLPは破壊された乳脂肪球を補修することによって、LPLの作用から脂肪球を保護し、その結果としてLPL作用を阻害することを明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Choemonn Kanno: "Emulsifying Properties of Bovine Milk Fat Globule Membrane in Milk Fat Enulsion:Conditions for the Reconstitution of Milk Fat Globules." Journal of Food Science. 54. 1534-1539 (1989)
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[Publications] Choemonn Kanno,Yutaka Shimomura,Etsuko Takano: "Physicalーchemical Properties of Milk Fat Emulsion Stabilized with Bovine Milk Fat Globule Membrane." Journal of Food Sceince. 56. (1991)