1990 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素18標識シントンの開発とドパミンDー2レセプタ-リガンドへの応用
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01470134
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 稔 九州大学, 薬学部, 教授 (70101178)
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Keywords | ド-パミンDー2受容体 / フッ素18 / ベンザマイド / ラット生体内分布 / アンタゴニスト / 放射性薬剤 / インビボ結合 / 線条体 |
Research Abstract |
PET断層法において使用するドパミンD2受容体描出のポジトロンリガンドの開発を目的として,ベンザマイド系抗精神病薬の1つであるエチクロプライド分子にフッ素18を導入するラジオトレ-サ設計を行い,そのインビボ結合を評価した。エチクロプライド分子の持つピロリジン環炭素4位にフッ素原子を導入したフルオロエチクロプライドおよびフルオロピロリジン環を有するベンゾフラン骨格のベンザマイド体を合成した。これらの化合物および合成中間物質について,ラット線条体ドパミンD2受容体に対するインビトロ結合を, ^3H標識スピペロン結合に対するIC_<50>として評価した。いずれの化合物についてもエチクロプライド自身と同程度のドパミンD2受容体高親和性を示し,ピロリジン環の4位の位置はアンタゴニスト結合部位とはかけ離れた領域であることを示唆した。したがって,フルオロエチクロプライドのフッ素18標識合成を,スルホン酸エステル体を標識基質とするフッ素18アニオンを用いた求核置換反応によって達成した。ラットを用いたインビボ結合によってドパミンD2受容体のラジオリガンドとしての評価を行った。投与後30分,60分における線条体組織における摂取率はそれぞれ,0.56,0.47%dose/gを示し,ドパミンD2受容体存在部位に選択的な放射能の集積が観察された。線条体ー小脳における濃度比は経過時間とともに増加し,投与後90分でその値は5であった。さらに,線条体における集積は,ドパミンD2受容体のアンタゴニストであるハロペリド-ルの前投与によりコントロ-ルに比べて約80%まで阻害された。フルオロエチルロプライドのドパミンD2受容体への選択的な集積性は一応満足すべきものであったが,脳組織への移行が不十分であることや生体内で脱フッ素化を受けるなどの課題を残している。
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[Publications] 福村 利光,堂本 英樹,前田 稔,福沢 絵津子,小嶋 正治: "Synthesis and in Vitro Affinity for Dopamine Dー2 Receptor of NーFluorineーSubstituted Analogs of Eticlopride" Chem.Pharm.Bull. 38. 1740-1742 (1990)
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[Publications] 福村 利光,前田 稔,一矢 有一,桑原 康雄,大塚 誠,田原 隆,増田 康治,小嶋 正治: "エチクロプライドの ^<18>Fーフルオロアルキル誘導体の合成" 核医学. 26. 1042 (1989)