1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大野 雅二 東京大学, 薬学部, 教授 (00111550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 進 東京大学, 薬学部, 助教授 (70101102)
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Keywords | 触媒反応 / 不斉反応 / スルホンアミド / 不斉アルキル化 / 不斉シクロプロパン化 / カルベノイド / ジアルキル亜鉛 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、ジアルキル亜鉛ーテトライソプロピルタイタネ-トー光学活性スルホンアミド系によるアルデヒドの触媒的不斉アルキル化について検討を加えた。反応性の低いベンツアルデヒドの系をそのまま他のアルデヒドに適用すると不斉収率が低下したが、これはアキラルな活性種によるアルキル化が競争的に進行しているためと推定した。そして、反応剤のモル比を変え、反応条件を再検討した結果、アルデヒドに対してジアルキル亜鉛2.2当量、テトライソプロピルタイタネ-ト0.6当量、ジスルホンアミド0.01〜0.02当量用いるという最適条件を見いだした。この方法によればシンナムアルデヒド、3ーフェニルプロパナ-ル、あるいはヘキサナ-ルなど従来では困難であった直鎖脂肪族アルデヒドの系でも極めて高い不斉収率を実現でき、本方法論の一般性、有用性を明かにすることができた。 継続して検討しているシアノヒドリン形成反応については、60%程度の不斉収率を一応達成することができた。しかし、中心金属、リガンドなど反応系の設定がまだ不十分で、次年度の課題として残された。 また、従来ほとんど検討されていなかった不斉シクロプロパン化反応についても新たに試みた。不斉シクロプロパン化反応としては、ジアゾ化合物ー銅錯体を用いる方法は古くより知られているが、調製、安定性の面で利点のあるカルベノイドを用いる触媒的なプロセスの開発はほとんどなされていない。われわれはカルベノイドの調整法として均一系のジエチル亜鉛ージヨ-ドメタンに着目し、不斉ジスルホンアミドとの複合系を設計した。検討の結果、ジエチル亜鉛ージヨ-ドメタンー不斉ジスルホンアミド系は特にアリルアルコ-ルのシクロプロパン化に効果的であることを明らかにできた。これはカルベノイドを用いる触媒的不斉シクロプロパン化の最初の例である。またこれは電子吸引性の光学活性配位子を用いるという触媒的不斉合成の新しい概念がアルデヒドのアルキル化、シアノヒドリン形成反応に加え、シクロプロパン化にも適用できることを示し、不斉ジスルホンアミド配位子の新しい局面を開拓するものと位置づけられる。次年度は、本反応の一般化を図る。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 高橋 秀依,川北 隆,吉岡 正人,小林 進,大野 雅二: "Enantioselective Alkylation of Aldehyde Catalyzed by DisulfonamideーTi(OーiーPr)_4ーDialkyl Zinc System" Tetrahedron Letters. 30. 7095-7098 (1989)
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[Publications] 高橋 秀依,吉岡 正人,小林 進,大野 雅二: "Enantioselective Cyclopropanation of Allyl Alcohols Catalyzed by DisulfonamideーEt_2ZnーCH_2I_2 System"