1990 Fiscal Year Annual Research Report
ウリ科植物の抗アレルギ-性トリテルペン誘導体の開発とバイオ生産
Project/Area Number |
01470138
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田端 守 京都大学, 薬学部, 教授 (60025682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上硲 和輔 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (60085280)
田中 重雄 京都大学, 薬学部, 助手 (30115878)
福井 宏至 京都大学, 薬学部, 助教授 (80026575)
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Keywords | ウリ科 / ヘチマ / Luffa cylindrica / 植物培養細胞 / テルペノイド / ブリオノ-ル酸 / ブリオノ-ル酸コハク酸エステル / 抗アレルギ-作用 |
Research Abstract |
ヘチマ(Luffa cylindrica)の培養細胞は抗アレルギ-作用を示す五環性トリテルペン化合物ブリオノ-ル酸を多量に産生するが、本研究ではブリオノ-ル酸から合成した8種の誘導体の構造とI型アレルギ-(マウス)に対する抑制活性との関連性を調べ、次のような結果を得た。トリテルペン骨格の二重結合の数と位置が、活性に影響する。また、ブリオノ-ル酸の29位のカルボン酸をアルコ-ルに還元すると、活性はやや上昇する。中でも最も劇的な活性の上昇をもたらす誘導体は、コハク酸エステルとフタル酸エステルで、活性は6倍から11倍に上昇する。この活性は、市販の抗アレルギ-剤であるトラニラストより3から5倍高い。活性の増強に、A環の3位近傍あるいはE環の29位近傍のいずれか一方に、カルボン酸が存在すれば良いのか、あるいは共に必要なのかは不明であるが、本実験の結果は、カルボン酸の性質や結合位置が最も重要であることを示唆している。 ブリオノ-ル酸コハク酸エステルは、経口投与、腹腔内投与のいずれの場合も、ほぼ同用量で受動皮膚アナフィラキシ-反応を抑制し、フタル酸エステルより優れた化合物であることが判明した。さらに、本化合物は、即時型アレルギ-(I型とIII型)と遅延型アレルギ-(IV型)の両方に、経口投与で有効であり、広い抗アレルギ-活性スペクトルを有する化合物であることが、明らかとなった。また、本化合物は、4g/kg(p.o.)の高い投与量でも致死作用を示さず、急性毒性は低い。一方、ヘチマ培養細胞が、乾燥重量当り4%と、親植物よりもはるかに高いブリオノ-ル酸生産性を示すこと、また、ブリオノ-ル酸の精製が容易であること、さらに、ブリオノ-ル酸コハク酸エステルが、ブリオノ-ル酸から容易に合成できることなどの諸点からも、本誘導体は、優れた化合物であると考えられる。
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Research Products
(1 results)