1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470140
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
荻原 幸夫 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (70080166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (50191888)
雨谷 栄 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (80137124)
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Keywords | 漢方方剤 / 小柴胡湯 / 大柴胡夜 / サポニン / 薬理作用 / マクロファ-ジ / コルチコステロン |
Research Abstract |
漢方処方における生薬配合及び複合成分の意義を探るために、4つの共通生薬を含む小柴胡湯、大柴胡湯のコレステロ-ル負荷高脂血症モデル動物に対する効果を検討した。これらの方剤は以前にマクロファ-ジからのインタ-ロイキン1放出に相反する作用を示すことを我々はすでに報告しているが、コレステロ-ル負荷により8週で有意に減少した単球数を小柴胡湯はさらに減少させ、大柴胡湯はコントロ-ルレベルに維持するという作用を示し、単球機能に対しては両方剤は今回も相反した結果を示した。しかし、両方剤はコレステロ-ル負荷により著しく増加する血中LDL分画中のチオバルビツ-ル酸反応陽性物質(過酸化脂質)を有意に抑制した。次に、小柴胡湯を用いてグルカゴンレセプタ-、EGFレセプタ-に及ぼす効果を検討した。小柴胡湯を経口投与すると30分後には血中グルカゴンレベルが上昇し、少々遅れて肝グルカゴンレセプタ-が減少した。そして、肝切除後のレセプタ-の変動を調べたところ、Down regulateのされ方には、コントロ-ル群と差はみられなかったが、小柴胡湯投与によりレセプタ-数の回復を早める傾向を示した。また、小柴胡湯、大柴胡湯共通構成生薬の共通成分の一つであるサポニンに注目し、特にサイコサポニン及びその関連代謝誘導体15種のACTH分泌促進活性をマウス下垂体腫瘍細胞AtTー20を用いて検討した。サイコサポニンd、プロサイコゲニンGの非常に強いACTH分泌促進活性が認められた。サイコサポニンa、プロサイコゲニンFについて有意な分泌促進活性が認められた。これらの結果はin vivoに於ける血中コルチコステロンレベルの上昇に平行するものであり、サイコサポニンの脳下垂体ー副腎系促進作用が下垂体の直接刺激によるACTH分泌促進によって生じることが推察された。
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