植物ホルモンで制御される高等植物の核遺伝子群の分子遺伝学的解析

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01480003
• Research Institution: The Institute of Physical and Chemical Research
• Principal Investigator: 篠崎 一雄 理化学研究所, 遺伝子解析研究室, 主任研究員 (20124216)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 林田 信明 理化学研究所, バイオデザイン研究グループ, 研究員 (80212158) ; 篠崎 和子 理化学研究所, 遺伝子解析研究室, 基礎科学特別研究員 (30221295)
• Keywords: アブシジン酸 / 植物ホルモン / 遺伝子 / 分子生物学 / クロ-ニング / シロイヌナズナ / イネ

Research Abstract

植物ホルモンアブシジン酸(ABA)は種子の成熟時や植物の乾燥時に合成され、さらにABAによって多くのタンパク質が誘導される。ABAにより誘導される遺伝子の機能と発現調節機構を調べる目的でシロイヌナズナのcDNAライブラリ-よりABAにより誘導されるcDNAクロ-ンを分離した。平成1年に得られた乾燥により誘導される20個のcDNAクロ-ン(cRD(Responsive to Desiccation)と命名した)のうち2個のクロ-ンはABAによって誘導されることが明らかになった。
ABAによって発現の誘導されるcRDクロ-ンの塩基配列の解析の結果、cRD22はソラマメで報告された種子形成期の初期から中期に大量に転写される機能の不明なタンパク質(USP)と相同性があることが示された。また乾燥によって二段階に誘導されるcRD29は現在のところ、デ-タベ-スの検索では相同性のあるタンパク質はなく機能は不明である。cRD29は乾燥による短時間での誘導(20〜30分)と長時間での誘導(3時間)の二段階の誘導がみられた。この内後半の誘導はABAによっていることが示唆された。現在cRD22とcRD29遺伝子をゲノミックDNAライブラリ-よりクロ-ニングして塩基配列を解析している。さらに転写開始領域を詳しく解析する予定である。
ABAで誘導されるイネの16kdタンパク質遺伝子rab16Bの転写開始領域の620bp断片をGUSレポ-タ-遺伝子に連結し、Tiベクタ-を用いてタバコに遺伝子導入した。導入遺伝子の発現を組織化学的に調べるとGUS活性はタバコ種子の胚で強く発現していることが示された。またABAによる誘導は培養した花粉のみで観察されたが、他の組織ではみられなかった。

Research Products

• [Publications] K.Yーshinozaki: "Analysis of an ABAーresponsive gene promoter in transgenic tobacco." Plant Mol.Biol.15. 905-912 (1990)
• [Publications] H.Kobayashi: "Sequence and expression of genes the large and small subunit of ribulose 1.5ーbisphosphate carboxylase/oxygenase from Chromatium vinosum." Gene.