1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480007
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山倉 拓夫 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10089956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 英之 京都大学, 農学部, 助手 (40202030)
神崎 護 大阪市立大学, 理学部, 助手 (70183291)
谷口 誠 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (00047309)
依田 恭二 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80046937)
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Keywords | 化学生態学 / ナギラクトン / アレロパシ- / 植物の被食防衛 / 侵入者 |
Research Abstract |
本研究は照葉樹林に侵入した攻撃的侵入者(ナギ)の生産するアレロケミックス(ナギラクトン)の森林群落内での動態と他感作用を解析し毒物質を操る侵入者の適応戦略及び毒物質によって制御された森林生態系の特異な姿を明らかにする。本年度は研究最終年度にあたり、成果のとりまとめに努めた。3ケ年の研究で判明した主要な成果は以下の如くである。 1.ナギ林の組成と構造:ナギ林の階層構造は高木層をナギが占め、低木層もイヌガシとナギが占める2層構造を成し、通常の森林で認められる3層構造は存在しなかった。また、隣接している春日山照葉樹林に比べ、種の多様性は比く,組成と構造が極端に単純化した群専であることが判明した。個体の分散構造は雌雄の差を反映し、子供の局所密度は雌の木の有無と高い相関を示した。 2.フエノロジ-:雄は雌と比べ成熟が早く、小個体でも良く開花した。種子の豊凶は顕著な4年周期の年次変動を示し、エルニ-ニョとの同調が示唆された。胸高直径生長のピ-クは夏季にあった。性差による個体のフエノロジ-の違いは、種子の豊凶とも関わる。 3.炭素循環:リタ-量には明らかな年次変動があり、葉のリタ-生産は種子の豊凶と負の相関を示した。詳細な炭素循環の解折は終了していないが、照葉樹林のそれと比較して大きな差は無いと思われる。 3.ナギラクトンの分布と動態:ナギラクトンは照葉樹林構成種の発芽や発根に明らかな負の効果を示した。また、ナギラトンは降雨によって溶脱され、林冠を通過した雨における濃度は雨量と負の相関を示した。雨によって年間は溶脱される量は植物体に存在するナギラクトンに匹敵するようである。
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