1989 Fiscal Year Annual Research Report
アイソザイムを遺伝標識としたMicrocystis属ラン藻の分子分類学的研究
Project/Area Number |
01480019
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 眞之 国立科学博物館, 植物研究部, 室長 (30000136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 辰己 国立科学博物館, 筑波実験植物園, 研究官 (40177457)
渡辺 真利代 東京都立衛生研究所, 環境保健部, 研究員
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Keywords | アイソザイム / Microcyctis属ラン藻 / アオコ / ミクロキスチン / 分子分類 |
Research Abstract |
茨戸湖(北海道)、霞ケ浦(茨城県)、奥多摩湖(東京都)、時雨湖(小笠原諸島)、諏訪湖(長野県)など東日本の湖沼を中心に試料の収集を行い、約30株のMicrocysits属ラン藻を単離した。これらを用いて、4つのアイソザイム遺伝子(IDH、6PGD、PGI、PGM)の遺伝子型を調査するとともに、3種の毒素(ミクロキスチンYR型、LR型、RR型)の定量を行った。その結果、以下の新知見が得られた。 (1)Microcystis属内にPGIで11種、6PGDで10種、IDHとPGMでは6種の対立遺伝子が存在する。 (2)M.viridisとM.wesenbergiiの2種においてはアイソザイムの種内変異が全く認められず、それぞれに特異的な遺伝子型に固定している。 (3)M.aeruginosaは遺伝的に極めて多型で、少なくとも12の遺伝子型から成る。 (4)M.viridisは3種のミクロキスチンをすべて生成するが、その絶対量は少ない。 (5)M.wesenbergiiはミクロキスチンを全く生成しない。 (6)M.asruginosaは毒性の点でも多型的で、3種のミクロキスチンを多量に生成する株、3種のうち1種のみを極めて多量に生成する株、ミクロキスチンを全く生成しない株などがある。 これらの結果から、M.virdisとM.wesenbergiiの2種は、形態的特徴に加えて遺伝的にも生理的にもよくまとまった。いわゆるgood speciesであることが強く示唆される。M.aeruginosaはheterogeneousな分類群である可能性が高く、その実体を明らかにするためにはさらに広範な詳細な解析が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Watanabe,M.F.: "Heptapeptide toxins contained in natural samples of Microcystis species" Toxicity Assessment. 4. 487-497 (1989)
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[Publications] Watanabe,M.F.: "Heptapeptide toxins prodution along the growth course of Microcystis specirs" J Applied Phycology.
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[Publications] Kato,T.: "Allozyme divergence in Microcystis(Cyanophyceae)and its taxonomic and phylogenetic inference" Archiv fur Hydrobiologie.