1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480043
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
池田 勝彦 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80024537)
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Keywords | 成育相の転換 / 有効日長 / 花成誘導 / 薄暮光 / 明暗識別 / 遠赤色光 / 加齢 / 計時機構 |
Research Abstract |
作物の成育を支配する有効日長を正確に把握するために、自然の急激でない明暗交替と毎日僅かずつ延長または短縮変化する日長の感受機作について検討を進めている。 1.人工光による実験: (1)花成誘導暗期中の白色光照射では3lx以下は花成を阻害しなかったが、10lxを越えると照度の増大に伴ない抑制が大となり、100lx以上では花成は完全に阻害された。しかし明暗移行時、つまり暗期直前に照射した場合には30lxでも暗黒と同程度の花成反応が見られ、300lxを越えるとこの花成促進効果はなくなった。このことは花成誘導暗期の全反応過程は約3lxを明暗の境界とするが、昼から夜への転換は30lxを上まわる光で識別し、花成誘導の計時反応を作動させていることを示している。 (2)さらにこの暗期直前の照射光中に700〜800nmの光を52%含む自然灯と僅か2%含む蛍光灯の両白色光の花成促進程度を比較すると、後者では30lxを越えると花成促進効果は急減したが、前者では300lxでも暗黒と同程度の高い反応を示した。この結果は明暗識別が光の量ばかりでなく、質とくに遠赤光(FR)により大きく変更され得ることを示唆している。 2.自然薄暮光による実験:薄暮光下での花成反応開始条件について、種々の方法で検討した結果、その減衰過程で30lx付近に達した時に花成誘導の計時反応は始動することを略つきとめた。そして8〜9月の晴天日の天文日没時に100〜400lxの薄暮光は約35分に1lxに低減するが、30lxに迄、低下するのは15〜20分後あった。さらにこの頃から全光中のFRの割合が増加し、R/FR比が1.0以下になる。この光の質的変化の明暗識別への関わりについて検討を進めている。 3.日長の遂日的変化は日長感応能獲得後、増大過程にある若い発育齢においては、短縮変化の方が延長のそれより花成誘導に有効であった。
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Research Products
(2 results)