1989 Fiscal Year Annual Research Report
園芸作物の組織培養における培地組成ならびに培養条件に関する栄養生理学的研究
Project/Area Number |
01480045
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 英男 筑波大学, 農林学系, 助教授 (00081547)
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Keywords | 培地組成 / 組織培養 / プラズマ発光分析 |
Research Abstract |
本研究は、野菜、花弁等の園芸作物の中から栄養特性の異なるものを取り上げ、これらの栄養特性に合った培地組成ならびに培養条件を、栄養生理学的な観点から検討しようとするものである。平成元年度は、本研究遂行の主体となる高周波プラズマ発光分析装置の特性について精力的に検討した。またMSや園試処方など数種の培養液および培養法を組み合わせてスタ-チスを組織培養し、外植体の成育ならびに無機要素吸収量を比較した。 その結果、P、K、Ca、Mg、Na、Fe、B、Mn、Zn等に関しては、分析条件および各元素が単独で存在する場合の信頼できる分析範囲についてはかなりの程度解明できた。また多種類の元素が共存する場合、特に微量要素の測定についてはそれ自身の存在濃度の問題と多量要素の影響とから、測定にかなりの工夫が必要となる可能性が考えられた。高周波プラズマ発光分析装置は、一つの試料中に存在する多種類の元素の濃度をごく短時間で測定できるものであり、従来の原子吸光分析装置や比色計を組み合わせた分析法に比べて数倍の分析効率を期待できるだけでなく、これまで困難であったBやSi、Mo等の分析も可能と言われている。しかし、植物試料を対象にした分析例は極めて少なく、メ-カ-自身も詳細なデ-タを有していないのが現状のようである。したがって、本研究を行うに当たっては、分析試料の調整法の検討や、分析機器の特性把握から始めなければならず、植物試料を実際に分析する基礎デ-タの収集にかなりの時間を費やすことになってしまった。 また、スタ-チスの組織培養の結果からは、従来使われているMS培地の優秀性は認められたものの、培養の方法によっては組成がより単純で安価な園試処方培養液の利用も充分に可能であると考えられた。
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