1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 明 京都大学, 農学部, 教授 (00026379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米森 敬三 京都大学, 農学部, 助教授 (10111949)
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Keywords | 雌雄性分化 / サイトカイニン / 着花特性 / 花性 |
Research Abstract |
本研究ではカキの雄花,雌花の着花特性と花芽分化期を明らかにし,養分の調節や化学薬剤処理による花性転換の可能性,特にサイトカイニンの影響を調査するとともに内生ホルモンについて調べた。 1.結果母枝の太さや長さは前年の花性によって大きく影響されたが,翌年の花性に与える影響は小さく,前年の花性そのものが翌年の花性に与える影響の方がはるかに大きいことを明らかにした。また,花芽分化期は雌雄花で異なり,雄花の分化期の方が早かった。 2.雄花着生品種についてベンジルアデニンの散布が花性転換に与える影響を調べたところ,中心花,側生花ともに雄花の偽雌ずいの発達がみられ,両性花,雌花に転換するものが観察された。 3.雄花着生品種のはち植え幼樹について窒素施肥量を変えて処理したところ,窒素量が多いほど雌花の着生数が増えたが,ベンジルアデニンと窒素量との相互作用は樹齢によって異なり,樹齢が進むほど雌花着生に対する作用が大であった。 4.雄花,雌花をそれぞれ着生した新梢の80%メタノ-ル抽出物を高速液体クロマトグラフィ-で分離し生物検定を行ったところ,両者間でゼアチン様サイトカイニン及び2iP様サイトカイニンの濃度には差異は認められなかった。しかし,雌花着生枝は雄花着生枝に比べてサイズが大きく花数が少いことから,新梢1本当たりのサイトカイニン量が多く,雌花1花当たりに配分されるサイトカイニンが多くなることが推測された。 5.以上の結果から,サイトカイニンがカキの雌性化を誘導するホルモンの1つであることは間違いないことであるが,雄性化を誘導する物質についてはさらに検索する必要がある。
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