1989 Fiscal Year Annual Research Report
マダニにおける卵黄形成の調節と卵黄形成誘導因子の精製
Project/Area Number |
01480052
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鎮西 康雄 三重大学, 医学部, 教授 (60024709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 裕之 三重大学, 医学部, 講師 (10173816)
安藤 勝彦 三重大学, 医学部, 助教授 (90024710)
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Keywords | マダニ / 卵黄形成 / ヴィテロジェニン / 幼若ホルモン / サイパ-メスリン / Ornithodoros |
Research Abstract |
カズキダニOrnithodoros属の2種O.moubata(Om)とO.parkeri(Op)を用いて、吸血後の卵黄形成とくに卵黄タンパク質Vitellin(以下Vnと略)とその前駆体であるVitellogenin(Vgと略)の生合成について調べた。また生合成を誘導する因子について、更に吸血後の内分泌学的な調節機構について検討した。Om雌成虫におけるVgの生合成は脂肪体でおこり吸血後3日から7日にかけて高い合成活性を示した。5日から10日にかけて卵巣へのVnの蓄積がおこり、その後産卵する。未吸血のOmに昆虫の幼若ホルモン(Juvenile Hormone-JHと略)I、II、III及びその誘導体メソプレン等を処理してもVg合成及び卵黄形成が誘導されないことを確認した。合成ピレスロイドの一種サイパ-メスリン(CyMと略)は未吸血雌にVg合成卵黄発達を促すことがわかりCyM処理後のVg合成の誘導発達過程を検討したところ、CyMはマダニの脳に当たる総神経球(Synganglion-SyGと略)を活性化して卵黄形成誘導因子(Vitellogenesis inducing factor=VIF)の分泌を促進すると考えられた。このことは吸血中から吸血後にかけての結紮実験によっても確認され、VIFの存在を強く示唆するものであった。更に結紮実験の結果は、このVIFが吸血中に分泌され、体後半分にある器官(又は組織)に作用して脂肪体でのVg合成を誘導する第2の因子(Fat Body Stimulating Favtor=FSF)を分泌させている可能のあることを明らかにした。VIF実体を明らかにし精製するために、吸血前後のSyGの抽出液を作製し、未吸血雌に注射して5日後のVg濃度を調べて、VIF活性を検定したところ、吸血前のSyGにVIF活性のあることが分かった。現在、未吸血雌のSyGを解剖によって集め抽出液のHPLCによる分画を試みている。しかしVIF活性は弱く抽出材料のSyGを充分とるのが大変で、当初考えていた通りには精製作業が進展していない。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yasuo Chinzei: "Vitellogenin Synthesis and Ovarian Development in Nymphal and Newly Molted Female Ornithodoros moubata(Acari:Argasidae)" Journal of Medical Entomology. 26. 30-36 (1989)
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[Publications] Yasuo Chinzei: "Cypermethrin Induction of Vitellogenesis and Ovarian Development in Unfed Adult Female Ornithodoros moubata(Acari:Argsidae)" Invertebrate Reproduction and Development. 15. 19-26 (1989)
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[Publications] Yasuo Chinzei: "Regulation of Vitellogenesis Induction by Engorgement in the Soft Tick,Ornithodoros moubata" Advances in Invertebrate Reproduction. 5. (1990)