1989 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いるアブラムシによる植物ウイルス伝搬の制御機構の究明
Project/Area Number |
01480053
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
佐古 宣道 佐賀大学, 農学部, 教授 (20038219)
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Keywords | アブラムシ非伝搬性 / 遺伝子工学的解析 / アブラムシ伝搬性 / ウイルス外被タンパク |
Research Abstract |
カブモザイクウイルス(TuMV)はアブラムシにより非永続的に伝搬される1本鎖RNAをゲノムとするウイルスである。まず、TuMVゲノムRNAの遺伝子構造を解明するために、本研究室で保存中の分離株1のcDNAクロ-ニングを行った。 Cylindrical封入体をコ-ドすると推定されるクロ-ン(3.0kb)の塩基配列を決定した。ついで、Oligo(dT)をプライマ-としてcDNAを合成し、ベクタ-としてBluescriptを用いて再クロ-ニングを行ったところ、得られた3.0kbのクロ-ンにpoly A配列の存在が認められたので、このクロ-ンの3′末端側から約1.4kbの塩基配列を決定した。その結果、TCAを終止コドンとする長いORFが検出され、このORFのうちの約900塩基は本ウイルスの外被タンパクをコ-ドする領域であると考えられた。現在、同様の手法によりTuMVの分離株31(変異株でアブラムシ非伝搬性)のゲノムについても塩基配列を解析中である。 TuMVの外被タンパクの構造を検討するために、両分離株の外被タンパクを調製して分子量を測定した結果、両株とも33,000ダルトンで、差はみられなかった。分離株1の外被タンパクの構成アミノ酸の分析結果では、トリプトファンを除く各種アミノ酸の組成を明らかにして、総数は277個と計算された。さらに、外被タンパクをトリプシンで処理した結果、約90種類のペプチドが得られ、エドマン法で各ペプチドのN末端側から同定を行い、全体の47%に当る130残基について、そのアミノ酸配列を明らかにした。現在、残りのペプチドについても、その配列を決定中である。
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