1989 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌の化学調節物質A-ファクタ-をめぐる調節ネットワ-クに関する研究
Project/Area Number |
01480063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀之内 末治 東京大学, 農学部, 助教授 (80143410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 真 東京大学, 農学部, 助手 (00208240)
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Keywords | A-ファクタ- / 抗生物質 / レセプタ-蛋白 / 放線菌の二次代謝 / afsR遺伝子 |
Research Abstract |
A-ファクタ-は、10^<-9>Mという極低濃度で多くの発現形質を“ON"にする。ストレプトマイシン生合成系の場合には、そのスイッチは転写段階であることが確認されている。このようにA-ファクタ-は真核生物のホルモンと機能的に類似しているので、その作用の発揮にはレセプタ-が必要であると予想し、化学合成でトリチウムラベルのA-ファクタ-を調製し、その検出を試みたところレセプタ-蛋白の検出に成功した。本レセプタ-は細胞質内にのみ存在し、分子量約26,000で、A-ファクタ-と1対1で結合し、その結合定数は0.7nMと極めて低かった。ゲノム当たりの蛋白数は約37分子と算出された。これらの結果は、A-ファクタ-は細胞内に自由に浸透でき、細胞膜上のレセプタ-は必要としないという考えと一致している。本レセプタ-は、A-ファクタ-と構造上類似のバ-ジニアブタノライドとは結合できず、厳密なリガンド特異性を有することが判明した。放線菌のうち、これまで最も研究されているS.coelicolorA3(2)やS.lividansには、A-ファクタ-特異的なレセプタ-は検出されなかった。 S.coelicolorA3(2)の二次代謝をグロ-バルに制御する調節蛋白質AfsRをS.griseusの系を用いて大量に発現させることに成功した。AfsR蛋白を大量に発現しているS.griseusの細胞抽出液と〔γ-^<32>P〕ATPとの混合により、AfsR蛋白はリン酸化されることが判明した。なお、AfsR蛋白の同定は、大腸菌の系を利用して調製したAfsR蛋白による抗体を用いて行った。現在、AfsR蛋白を精製すべく、抗体カラムやATPカラムによるアフィニティクロマト等の条件を検討している。
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[Publications] K.Miyake: "Detection and properties of A-factor-binding protein from Streptomyces griseus" J.Bacteriol. 171. 4298-4302 (1989)
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[Publications] K.Miyake: "The A-fcator-binding protein of Streptomyces griseus negatively controls streptomycin production and sporulation" J.Bacteriol.