Research Abstract |
前年度にひき続いて,本年度は本州のうち北陸,近畿,山陰,中国各地方に自生しているナラ類からミズナラ,コナラ,カシワの3樹種を対象とする現地調査を行った。1990年秋季に全員によって当初の予定通りに新潟県,京都府,鳥取県,山口県,岡山県のナラ類天然林の現地調査及び試料収集がなされた。すなわち,新潟県佐渡島では相川町達者においてカシワ20個体,コナラ2個体,相川町小仏峠付近でミズナラ10個体,コナラ2個体,金井町新保川ダム付近でミズナラ10個体,コナラ13個体が調査された。したがって,佐渡島においてはカシワ計20個体,コナラ計22個体,ミズナラ計20個体の母樹群が調査されたことになる。つぎに,京都府では丹後半島の弥栄町味土野においてコナラ20個体の現地調査が行われた。さらに鳥取県では大山山麓一帯でミズナラ20個体の調査がなされた。また,岡山県では川上村の蒜山高原付近においてコナラ21個体が調べられた。山口県下では徳地町においてコナラ10個体,阿東町においてコナラ7個体,鹿野町においてコナラ3個体などコナラ計20個体が調査された。 以上述べたように,ナラ類の全体としてはカシワ,コナラ,ミズナラ3樹種について12母樹集団からの143母樹個体が調査の対象となった。 各母樹はそれぞれ葉10枚8形質,堅果20個5形質,殻斗20個5形質を測定したので,測定値の總数は4万余に上った。 成果の取纏めはまずクラスタ-分析法によって各集団の遺伝的特性及び遺伝的関連を明らかにしようとするもので,鋭意分析中である。 採取した堅果は母樹系統ごとに九州大学早良演習林内の苗畑に143母樹系統の播種を終了した。これらは成苗を得て次年度に産地試験地に定植する予定である。また,次年度には本州及び四国地方のナラ類について調査・研究を予定している。
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