1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480079
|
Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
隆島 史夫 東京水産大学, 水産学部, 教授 (60041703)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾城 隆 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (10201401)
|
Keywords | 倍数体 / 2倍体 / 3倍体 / サケ・マス / ヤマメ / 品種 |
Research Abstract |
倍数体とは、染色体数に増減がみられる個体のことで、同種あるいは異種間の交配によって生じる。魚類ではその人為誘導が可能で、それら人為倍数体のなかには従来の交配種にない形質を利点として保有することが期待される。そこで本研究では、サケ・マス類を交配して基準とされる同種2倍体の他に同種(質)3倍体・異種(質)2倍体、異種(質)3倍体を作成し、種苗としての特性ならびに養殖魚としての特性について検討することを目的としている。平成元年度においては、卵にヤマメを、精子にヤマメ、ニジマス、イワナ、カワマスなどを選び、それらを媒精して倍数体を作出する条件を明らかにし、かつ得られた卵の性状ならびに稚魚の育成状況について検討した。作出条件としては、いずれの組合せであっても、接水15分後から15分間、28℃の温水へ浸すことが最も効率的であることが判明した。得られた倍数体の受精率は、ブラウントラウト精子で媒精した雑種2倍体(以下ヤマブラ)とその3倍体で最も高い値であった。しかし、発眼率ならびに艀化率は2倍体雑種、同種・異種3倍体とも同種2倍体に比較していずれも劣った。一方、艀化後30日までの生残率をみると、雑種は同種組合せ個体よりも死亡率が高かったが、3倍体雑種は2倍体雑種よりも低い傾向にあった。成長率に関しては、ヤマメ3倍体は2倍体よりも成長が速やかで、しかも雑種とした場合にはやや顕著であった。このように、同種の交配に比較すると異種間の交配で得られた雑種は、受精は成立するものの卵期において発生が不順となることが少なくないことが判明した。しかし、艀化後に生残った個体は成長が速やかで、養殖適性が認められる。なお、通常の2倍体雑種としては生存性がない組合せであっても、3倍体とすることによってそれを獲得でき、それらには従来の品種にない特性が認められるものがある。今後、それらを含めさらに多くの組合せを作り、新たな品種作出のための基礎的検討を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 隆島史夫: "養殖最前線" 裳華房, (1990)
-
[Publications] 尾城隆: "水産におけるバイオとハイテクノロジ-魚類育種とバイテク" 成山堂, (1990)