1991 Fiscal Year Annual Research Report
土壌圏内に形成された不均一構造が斜面の安定性に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
01480084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 毅 東京大学, 農学部, 助教授 (00209892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩沢 昌 東京大学, 農学部, 助手 (80134154)
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Keywords | 斜面浸透 / フィンガリング / 不飽和浸透 / 流れの可視化 / ファネルドフロ- / キャピラリ-バリア- |
Research Abstract |
境界面が水平な成層土中のFingering現象は、砂丘地や成層土中への浸潤現象の一つとして知られている。一方、境界面が傾斜している成層土中のFingering現象は、Funneled Flow(集積流)と関係していることが近年の研究によって指摘されるようになった。そこで、当該年度は、実験的に傾斜境界面のFingering現象を発生させ、その物理的特質を解析した。すなわち、上層に透水係数が相対的に小さい試料(ここでは標準砂)を充填し、下層には透水係数が相対的に大きい試料(ここでは粒径1mmのガラスビ-ズ)を充填し、その境界面の傾斜角度を0度から30度にまで変化させることにより、どのようなFunneled flowとFingering flowが発生するかを、カメラ撮影、8mmビデオ撮影、半導体圧力センサ-組み込みテンシオメ-タ-、色素トレ-サ-(過マンガン酸カリウム)等を用いて克明に観察した。その結果、水平土層境界面で不規則的に発生することが知られているFingering現象と全く異なり、傾斜境界面に沿ったFunneled flowとその集積の結果として現れるFingering現象は、規則的に反復して発生することを確認した。すなわち、従来仮説の域に留まっていたFunneled flowとFingering flowの関係を実証し、しかもその流れの可視化に成功したものである。さらに、Fingering発生位置に関しての従来の知識はきわめて曖昧であるのに対し、Kung(1990)および宮崎、前村(1991)が提起した飽和集積流モデルおよびBenjamin(1990)が提起した不飽和集積流モデル(彼はキャピラリ-・バリア-・モデルと称している)を適用することにより、傾斜境界面のFingering発生位置の理論的予測が可能なことを示し得たこと、およびこれらのモデルの弱点を克服すればその予測能力がさらに高まることを明らかにしたことの意義も小さくない。
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Research Products
(2 results)