1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480088
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正木 淳二 東北大学, 農学部, 教授 (70101152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々田 比呂志 東北大学, 農学部, 助手 (90158931)
梅津 元昭 東北大学, 農学部, 助手 (30005649)
菅原 七郎 東北大学, 農学部, 助教授 (80005602)
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Keywords | 精子 / 透明帯除去卵子 / 生理活性物質 / マイトトキシン / Caイオン |
Research Abstract |
Caイオンの細胞内へのとりこみを促進することで注目されているマイトトキシン(MTX)を用い、ヤギ精子の運動性、呼吸能および先体の形態に及ぼす影響をしらべた。MTXは蒸溜水に溶解し、精子浮遊液に1.88-37.50ng/mlの濃度になるように添加した。その結果、MTXはCaイオンの存在下で、添加濃度が増すに従って精子の運動性を強く抑制し、37.50ng/mlの場合は添加直後に運動性が消失した。先体の剥離もMTXの濃度増加に伴って進行した。MTX1.88ng/ml濃度では、精子運動性および呼吸能はほとんど影響をうけなかったが、先体の変化は2時間のインキュベ-ションで明らかになり、生理的な先体反応出現が示唆された。MTX不添加の場合や添加してもカルシウムが存在しない場合は、前記の変化が見られなかったことから、本物質はヤギ精子に対してもCaイオンのとりこみに作用し得ることが明らかにされた。 MTXの影響をうけた精子の卵子内侵入能については、ウシ精子を用いて透明帯除去ハムスタ-卵子への侵入能をしらべた。ウシ精子は人工授精用の凍結精子を融解、洗浄し、MTX処理は精子浮遊液に最終濃度が0.469-1.875ng/mlになるよう添加し、37℃下で5-30分インキュベ-ションを行った。MTX処理精子は洗浄後、1-3時間のプレインキュベ-ションを行い、透明帯除去ハムスタ-卵子に媒精した。卵子は媒精後4時間までに固定、染色し、精子侵入卵率をしらべた。結果は、MTXがカフェインおよびCaイオン存在下で精子の卵子内侵入に促進的に作用し、特にMTX0.938ng/mlで5分間処理した区では、無処理区の33.3%に比べ、81.4%の高い精子侵入卵率を得た。しかし、MTX1.875ng/mlで処理した区では精子の運動性が抑制され、精子侵入卵は得られなかった。適濃度のMTXで処理した精子に見られる卵子内侵入能は、カフェイン不在下で低下し、Caイオン不在下では完全に消失した。
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Research Products
(2 results)