1989 Fiscal Year Annual Research Report
家畜の発育・成長と環境との連関に関する比較生理学的研究
Project/Area Number |
01480091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 茂 東京大学, 農学部, 教授 (70111482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 寛二 東京大学, 農学部付属牧場, 助手 (50126166)
澤崎 徹 東京大学, 農学部付属牧場, 助教授 (00012047)
局 博一 東京大学, 農学部, 助教授 (30142095)
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Keywords | 発育・成長 / 環境要因 / 比較生理学 / 行動型 / 心電図 / 自律神経機能 / 妊娠家畜 / 産仔数 |
Research Abstract |
本学付属牧場に繁養されているサラブレット種馬およびシバヤギを対象に、新奇刺激(ウマは等身大馬型シルエット、ヤギでは等身大山羊型モデルを用いた視覚刺激)を与えた時の反応について、ビデオカメラ撮影による行動型の観察記録とテレメトリングによる心電図記録を実施し、一連の解析を行った結果、妊娠固体と非妊娠固体とでは明らかな相違のみられることがわかった。すなわち、心拍数および心電図T波の解析結果から、ウマおよびヤギのどちらも、妊娠固体の方が非妊娠固体に比べてより交感神経緊張状態にあり、それが新奇刺激に対する行動型の相違をもたらしているものと推察された。しかし、通常、群飼育管理されているヤギの場合はその差異がウマほど明らかでなく、要因としては妊娠よりむしろ年齢が反応性に深く関わっている可能性も示唆された。なお、予定していた実験馬が流産したこともあって、妊娠経過にともなう母親と胎児の生体機能変化に関する情報は今回入手することができなかった。 未経産ラットを12週齢で交配させて得た新生仔について、そのまま自然哺乳させ成熟に至るまでの平均体重と産仔数との関係を調べた。一方、分娩後1日目に間引あるいは里子によって哺乳仔数を4,8および16匹の3群に調整したのち、離乳を経て成熟に至るまでの期間における体重測定、心電図記録、血圧、左心室内圧等の測定、自律神経作用薬に対する反応の観察を行った。その結果、成長曲線ならびに生体機能発達には上記の3群間で明らかな相違がみとめられ、生体機能発達の面からみた場合、8匹が固体の発育・成長にとってもっとも望ましい哺乳仔数であることが示唆された。 現在、受精卵移植法により、胎生期段階における産仔数調節の可能性を探っている。
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[Publications] 菅野茂: "妊娠馬および非妊娠馬におけるシルエット刺激反応の比較" 日本畜産学会報. 61. (1990)
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[Publications] 菅野茂: "新奇刺激に対する妊娠山羊の行動型ならびに心拍数の変化" 日本畜産学会報. 61. (1990)
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[Publications] 菅野茂: "哺乳仔数の多寡が生体機能発達におよぼす影響" Jpn.J.Vet.Sci. 52. (1990)