1989 Fiscal Year Annual Research Report
子牛の放牧時エネルギ-代謝における季節的変動とその地域間差
Project/Area Number |
01480092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 忠且 東京大学, 農学部, 教授 (90115535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 守彦 琉球大学, 農学部, 助手 (90175555)
松井 寛二 東京大学, 農学部, 助手 (50126166)
澤崎 徹 東京大学, 農学部, 助教授 (00012047)
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Keywords | 放牧 / エネルギ-代謝(子牛) / 代謝率の季節変化 / 数字モデル(放牧) |
Research Abstract |
家畜のエネルギ-代謝の研究は家畜飼養学、管理学の基礎となっているが、放牧条件下の代謝に関しては不明の点が少なくない。それは従来の家畜栄養学分野のアプロ-チが、経時的な草地植物の量や質の変化とその家畜への影響を見落としていたことと、注目したとしても方法に困難があったためである。この研究では、牧草の生育状態と対応させたかたちで放牧条件下の子牛の採食習性を測定する方を確立するとともに、子牛のエネルギ-代謝を季節的に推定することをねらいとしている。とくにその季節的変化の結果として現れる子牛の夏季における生育停滞にも注目し、草種、草量、草質との関連でそれを解明しようとしている。 寒地型牧草地の実測では、北関東(茨城)、北海道(十勝)の両試験地とも、夏季の増体の停滞がみられ、草種の差で軽重の違いはあるが、その停滞は避け得なかった。牧草の放牧牛による採食量と消化率の低下が大きな原因ではあるが、個体あたり摂取エネルギ-(GE)に対する蓄積エネルギ-(RE)の割合(効率)も、代謝エネルギ-(ME)に対する割合(RE/ME)も、春・秋に比べて夏が低いことが示され、草量、草質の季節変動が採食したのちの代謝エネルギ-のREへの変換効率にも関係していること、および放牧子牛自体の代謝とも関係する子牛の生態の季節変動が増体の変動に影響していることがしめされた。とくにこれらの影響の程度が、量的な値として求められたことは意義が大きい。 暖地型牧草地の例では、子牛の生長を再現するOkubo・Hirosakiモデル(1975)を用いてシミュレ-ションを行ったが、牧草生産量を推定する一部の係数に問題があり、実測値との食い違いがみられた。しかし基本的には、亜熱帯の牧草地にも、この数式モデルが適用可能なことが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] OKUBO,T.,K.MATSUI,ほか: "Seasonal variation of cattle daily gain,plant characteristics and solar energy conversion efficiency in grazing pastures of D.glomerata and of F.arundinacer." Proc.Intern.Grass.Congr.XVI,Nice,1989. 15. 1113-1114 (1989)
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[Publications] 松井寛二,大久保忠且: "小型デ-タロガによる放牧行動の自動解析" 日畜会報. 60. 940-945 (1989)
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[Publications] 松井寛二,黒川勇三,大久保忠且: "飼料摂取量と24時間心拍数との関係について" 日畜会報. 61. 108-112 (1990)
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[Publications] 松井寛二: "スタンチョン飼育シバヤギの体温、心拍数および行動型の日内変動" 実験動物. 39. (1990)
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[Publications] 大久保忠且(編・著)(分担): "草地学" 文栄堂, 400 (1990)
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[Publications] 大久保忠且(分担): "システム農学" ミネルヴァ書房, (1990)