1989 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚の分化機構の解析と胚割球のクロ-ニングによる家畜生産の基礎的研究
Project/Area Number |
01480095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入谷 明 京都大学, 農学部, 教授 (80026385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 美彦 京都大学, 農学部, 助手 (70192739)
三宅 正史 京都大学, 農学部, 助手 (60093316)
内海 恭三 京都大学, 農学部, 助教授 (90033266)
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Keywords | 初期胚 / 多分化能 / 細胞融合 / 胚割球 / 再構成胚 / 核の初期化 / 核移植 / ウシ |
Research Abstract |
哺乳動物の初期胚の割球を単離して、遺伝的に相同な個体を多数生産する事を本研究の目的としている。初期胚の発育ステ-ジ毎の割球の発育能力と多分化能を実験小動物で解析し、ヤギやウシの胚へ応用する。マウスやラットの初期胚の増殖・分化に於ける核と細胞質との相互関係が調べられた。ラット2細胞期胚割球を電気融合で単一割球にして、1核を除くか、2核を除いて有核の1/2割球を融合させるか、1核を除いたものと2核を除いたものを融合させることによって、核と細胞質の比が各々1:2、1:3及び1:4の再構成胚の発生を調べた。1:2では初期胚盤胞までの発育が観察されたが、1:4では桑実胚への発育は見られなかった。マウスとラットの前核期胚の核の相互種間移植による再構成胚の2細胞期への第一細胞分裂までの時間を調べた。ラット細胞質中にマウス核を持つ胚はラット胚に近い時間に、マウス細胞質中にラット核を持つ胚はマウス胚に近い時間に2細胞に分裂した。この様に初期胚に於いては核と細胞質の量的比や細胞質の質的変化が胚細胞の分裂に影響する事から胚細胞の発生・分化能は核と細胞質の相互依存関係にある事が明かにされた。ヤギやウシでは8細胞期胚の単離割球を使って、分割の進んだ割球(8細胞期胚の割球)が内部細胞塊(胎児)に分化し、遅いもの(2細胞期胚の割球)が栄養膜細胞(胎盤)に分化することを利用する割球凝集キメラ法と割球自身の細胞質量を未受精卵細胞質より補完して核を初期化する細胞融合法(核移植法)による再構成胚の発生が調べられた。前者の方法では家兎卵管培養法で胚盤胞へ発育する胚が得られたが、後者の方法では体外培養法で8細胞期へ発育する胚が見られたに過ぎない。特にウシでは発生能の劣る体外成熟・体外受精由来の胚を供試材料とする事が多いため再構成胚の発生能を議論するのに問題点は多い。今後の研究に於いては発生効率を高めるような胚割球の操作法の改善と体外成熟・体外培養法の開発が急務と思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Iritani,A.: "Progress in the Field of Mammamlian Fertilization and Early Development" Asian Medical Journal. 32. 543-550 (1989)
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[Publications] Matsumoto,K.: "Production of Identical Twins by Separating Two-cell Rat Embryos" Gamete Research. 22. 257-263 (1989)
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[Publications] Iritani,A: "Micromanipulation of Oocytes and Embryos" Proceeding of XIIth World Congress on Fertility and Sterility,Marrakech,Moroco,Oc.1-5,1989,Parthenon Publish.,Engl.(1990)
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[Publications] Utsumi,K.: "Full Term Development of Bovine Follicular Oocytes Matured in Culure and Fertilized in vitro" in preparation. (1990)