1990 Fiscal Year Annual Research Report
中枢シナプスにおける伝達物質放出の修飾機構ー素量解析による研究
Project/Area Number |
01480121
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 長三郎 金沢大学, 医学部, 教授 (50008231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東間 正人 金沢大学, 医学部, 講師 (00173146)
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Keywords | シナプス伝達 / 修飾物質 / 素量解析 / ガンマアミノ酪酸 / バクロフェン / 海馬体 |
Research Abstract |
1.海馬体の顆粒細胞軸索(苔状線維)とCA3野ニュ-ロン間のシナプス伝達について、ガンマアミノ酪酸のB受容体を介する修飾作用を調べた。 2.テンジクネズミの海馬体の横断薄切片を作製し、苔状線維束の電気刺激によってCA3野ニュ-ロンに生ずる興奮性シナプス後電位(EPSP)を、細胞外あるいは細胞内電位変動として記録した。また単一顆粒細胞の発火によって単シナプス性にCA3野ニュ-ロンに発火する単位EPSPを同一シナプスについて多数記録し、素量解析を行った。 3.苔状線維刺激によるEPSPを反映する細胞外電位は、B受容体の作動薬であるバクロフェン1μMによって可逆的に抑制され、20%以下にその振幅を減じた。 4.1μMバクロフェンは、CA3野ニュ-ロンの膜抵抗の約20%の減少と膜電位の数mVの増大を起こした。また細胞内記録したEPSPの振幅も、1μMバクロフェンによって可逆的に抑制された。 5.CA3野ニュ-ロンから記録した単位EPSPの振幅はバクロフェン1μMによって65%に、10μMによって32%に低下した。単位EPSPの振幅変動は、パスカル分布に適合した。これに最尤法を適用して素量パラメタ-を推定したところ、平均素量放出数はバクロフェン1μMにおいて14%,10μMにおいて59%減少し、平均素量振幅はバクロフェン1μMにおいて18%,10μMにおいて21%減少していた。 6.以上の結果においてバクロフェン存在下での平均素量振幅の低下は、おそらくCA3野ニュ-ロンの膜抵抗の減少によるのであろう。平均素量放出数の減少は、苔状線維終末のB受容体の賦活によって伝達物質放出を抑制する機構の存在を意味している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Higashima,M.,Sawada,S.,Yamamoto,C.: "Applicability of Pascal distribution to quantal analysis for nonーstationary release of neurotransmitter." Neurosci.Lett.,. 115. 231-236 (1990)
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[Publications] Yamamoto,C.,Higashima,M.,Sawada,S.and Kamiya,H.: "Quantal components of the synaptic potential induced in hippocampal neurons by activation of granule cells,and the effect of 2ーaminoー4ーphosphonobutyric acid." Hippocampus,. 1. 93-106 (1991)