1989 Fiscal Year Annual Research Report
自動行動下に観察したラット脳内のエストロジェン感受性機構の動態と雌雄差
Project/Area Number |
01480131
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐久間 康夫 弘前大学, 医学部, 教授 (70094307)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武尾 照子 弘前大学, 医学部, 助手 (20113813)
星名 裕子 弘前大学, 医学部, 講師 (50091632)
菅 世智子 弘前大学, 医学部, 講師 (80003408)
|
Keywords | 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / LHRH / 下垂体門脈系 / 正中隆起 / 視床下部 / 興奮分泌連関 / パルス状分泌 / 活動電位 |
Research Abstract |
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LHRH)を産生し、下垂体門脈系に放出する神経細胞の細胞体はラットでは前脳に分布し、軸索を下垂体門脈系の第一次血管叢の位置する正中隆起外層に送っている。視床下部-下垂体後葉系との類推から、これらの細胞におけるホルモン分泌も活動電位と連関して量子的に起り、門脈血中LHRH濃度はパルス状に変化すると予測される。下垂体の黄体形成ホルモン(LH)分泌がLHRH動態を忠実に反映することから、LHの血中濃度の推移と細胞の活動の時系列変化の関連に基づいて、分布領域や投射様式が類似する細胞群のなかでLHRH細胞を特定することが可能である。研究計画の初年にあたり、血清中LHのラジオイムノアッセイによる測定のため、右心房に留置したカニュ-レにより経時的に採血する方法を確立した。下垂体からのLH分布調節には、複数のLHRH細胞の活動の同期によるLHRHの単位パルスの大きさの変化と、個々の細胞の活動の変化による単位パルスの頻度の増減の双方が関わる可能性があるので、申請備品として設置した高速アナログディジタル変換器を中心とする記録デ-タ解析システムにより、活動電位の頻度の時系列と並行して、単位時間内での放電間隔ヒストグラムを連続的に算出し、経時的変化を検知するプログラムの試用を行い、外乱のない状態では単位時間内での平均放電間隔と標準偏差の正相関が維持されることを確かめた。またラットの中枢神経細胞の慢性的記録に常用されてきた白金イリジウム電極に代わり、ステンレススチ-ル電極が十分実用に耐え、記録部位の同定の容易な点ではむしろ本実験計画に適することを見出した。第二年度には、記録電極に加えて正中隆起本部に刺激電極を留置し、電気刺激による逆行性興奮の誘発により同定される細胞の長期間記録と経時的採血を同一固体で行い、軸索投射が確定した神経細胞における活動の記録と血中LH動態との関連を観察し、LHRH細胞を特定する。
|
Research Products
(10 results)
-
[Publications] Takahashi,Yasuo: "Brain aromatase activity and behavioral consequences in the male rat treated in utero with 4-hydroxy-androstenedione." Endocrinologia Japonica. 36. 29-36 (1989)
-
[Publications] Akaishi,Takao: "Effects of estrogen on hypothalamic paraventricular neurons in tissue slices from ovariectomized rats." Biomedical Research. 10. 149-155 (1989)
-
[Publications] Akaishi,Takao: "Estrogen-induced modulation of hypothalamic osmoregulation in female rats." American Journal of Physiology. 258. (1990)
-
[Publications] Hasegawa,Takeshi: "Estrogen-induced suppression of female rat forebrain neurons with axons to ventral midbrain." Journal of Neurobiology. submitted.
-
[Publications] 佐久間康夫: "神経内分泌細胞の電気生理学的特徴" 神経研究の進歩. 33. 31-37 (1989)
-
[Publications] 佐久間康夫: "脳代謝とその異常:性欲" 代謝. 26. 111-115 (1989)
-
[Publications] 佐久間康夫: "性ホルモンによる脳の性分化" 新潟医学会雑誌. 103. 625-631 (1989)
-
[Publications] 佐久間康夫: "神経内分泌と行動:性行動" 臨床神経科学. 8. (1990)
-
[Publications] 佐久間康夫: "エストロジェン感受性脳内回路の多様性" ホルモンと臨床. (1990)
-
[Publications] Saito,Hideo: "Phermones and Reproduction,Ed.by Y.Sagara and K.Seto" The Parthenon Publishing Group,Casterton Hall,UK., 282 (1990)