1989 Fiscal Year Annual Research Report
抗重力筋萎縮のメカニズム-Tail Suspensionモデルによるヒラメ筋の萎縮で特異的に減少するタンパク質による解析
Project/Area Number |
01480132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
跡見 順子 東京大学, 教養学部, 助教授 (90125972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八田 秀雄 東京大学, 教養学部, 助手 (60208535)
山田 茂 東京大学, 教養学部, 助教授 (50092367)
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Keywords | 筋萎縮 / Tail Suspension / α-クリスタリン / 水晶体 / ヒラメ筋 / 機械的伸展 |
Research Abstract |
筋萎縮のモデルの1つであるTail Suspension(TS)法を用いて無荷重による遅筋の萎縮の分子機構を構成タンパク質の変化から解析した。このモデルでは、速筋群は10〜20%の萎縮を示すものの成長にしたがって筋重量も増加するが、遅筋であるヒラメ筋は1週間で約半分に重量が減少した後増加が全くみられない。筋の収縮タンパク質であるミオシン重軽鎖の特異的な減少のほかに、分子量22000に相当するタンパク質(22K protein)の特異的な減少がみられた。22Kproteinは速筋である足底筋では非常に少なく、遅筋であるヒラメ筋に多い。筋重量の減少と対応して10週間のTS中減少したまま増加はみられなかった。2次元電気泳動で22K proteinは単一のタンパク質であった。 筋長は肥大、萎縮に大きな影響を与えることが明らかにされている。TSモデルで脚を底屈させヒラメ筋を伸展すると、重量の減少がみられなかった。同時に24K proteinの減少もみられなかった。また長指伸筋(EDL)をTSモデルで除神経し、伸展する22K proteinの発現がみられた。このように22K proteinは筋の機械的伸展によって動的に変化するタンパク質である。22K proteinを精製し抗体を作成し、細胞内存在を検討したところ、Z線への局在が明らかになった。またこのタンパク質のアミノ酸シ-クエンス、ペプチドマップ及び免疫特性から、22K proteinは眼の水晶体に特異的に発現すると考えられていたα-クリスタリンのB鎖と相同であることが明らかとなった。眼の水晶体の構造タンパク質であるα-クリスタリンはきわめて不活性なタンパク質として知られているが、骨格筋では適応的変化により動的に変化する。今後このタンパク質の萎縮過程における合成・分解過程をタンパク質及び核酸レべルで解析してゆく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Atomi,S.Yamada and H.Haata: "SPECIFIC PROTEIN COMPONENT DECREASED IN ATROPHIED SOLEUS MUSCLE AND MAINTAINED BY PASSIVE STRETCH IN RAT HINDLIMB" Med.Sci.Sports. 20. S78 (1988)
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[Publications] Atomi,Y.,S.Yamada,and H.Hatta.: "Effects of passive stretch and denervation on 24-kDa protein of skeletal muscle with tail-suspension model." Med.Sci.Sports. 21. S29 (1989)
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[Publications] Atomi,Y.,S.Yamada,and H.Hatta.: "αB-crystallin rapidly decreases in atrophied soleus and maintained by passive stretch.(to be submitted.)" Nature.
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[Publications] Atomi,Y.,S.Yamada,and: "αB-crystallin is specific in rat slow muscle and localizes at Z-line of myofibrils.(to be submitted.)" Nature.
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[Publications] 跡見順子: "骨格筋の萎縮構造-特異的に変化するタンパク質α-クリスタリンの発見-" 運動生化学. 2. (1990)
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[Publications] 跡見順子、山田茂、八田秀雄、篠原しげ子、山本順子: "抗重力筋萎縮のメカニズム-ラットTail Suspensionモデルによるヒラメ筋の萎縮と特異的に減少するタンパク質 その2-" 第6回宇宙利用シンポジウムプロシ-ディング(日本学術会議・宇宙科学研究所). 6. 136-139 (1989)