1990 Fiscal Year Annual Research Report
抗重力筋萎縮のメカニズムーTail Suspensionモデルによるヒラメ筋の萎縮で特異的に減少するタンパク質による解析
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01480132
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
跡見 順子 東京大学, 教養学部, 助教授 (90125972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八田 秀雄 東京大学, 教養学部, 助手 (60208535)
山田 茂 東京大学, 教養学部, 助教授 (50092367)
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Keywords | 筋萎縮 / Tail Suspension / αークリスタリン / 水晶体 / ヒラメ筋 / 機械的伸展 |
Research Abstract |
昨年はTail Suspension(TS)モデルによるヒラメ筋の萎縮に伴って特異的に減少する分子量22000のタンパク質のアミノ酸シ-クエンスから眼のレンズに特異的に発現すると考えられていたαークリスタリンB鎖(αBーCRY)の相同であることを明らかにした。本年はTSによるれるαBーCRYの減少についてタンパク質の合成ならびにαBーCRY遺伝子の転写レベルでの調節について検討した。TSラットのヒラメ筋を摘出し、その一部を35Sメチオニンを含む培地中で二時間器官培養を行い二次元電気泳動及びフルオログラフィ-によりαBーCRYの合成をみたところ、24時間後以降合成は急に減少した。培養中筋を張力がかからないようにすると、αBーCRYは上清中に抽出されず沈澱してしまった。ハムスタ-について報告されているDNA塩基配列をモデルに合成オリゴヌクレオチドを作成し、これをプロ-ブとしてラットの心臓のcDNAライブラリ-からαBーCRYに相当するプロ-ブをつりあげクロ-ニングした。全アミノ酸配列のコ-ディン領域に相当する700kpのプロ-ブを作成し、これを用いてTS後のmRNAの変化を検討したところ、TS後24時間で一時的に増加する傾向を示したが、3日以降急激に減少した。αBーCRYmRNA発現に対する神経支配の影響をみた。除神経は対照群でmRNAの発現を減少させたが、TS群では除神経は逆にTS脚のαBーCRYのnRNAの減少を抑制する傾向を示した。このことはTS群では神経を介して、TS脚内のαBーCRYのmRNAの減少を亢進させていることを示した。精製したラット筋αBに対して作成したαBーCRYのポリクロ-ナル抗体を用いてαBーCRYヒラメ筋における局在及びTSに対する効果を検討したところ、αBーCRY抗体に反応する筋細胞はTSにより急激に減少した。また、筋原線維Zに局在がみられた。以上の結果から、抗重力筋(遅筋)におけるIn vitro及びIn vivoで筋に対する無荷重状態は筋内でのαBークリスタリンの変性及びタンパク質合成の転写レベルの抑制をひきおこしこれが筋萎縮過程の素因の一つとして働くことが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Atomi et al.: "Dynamic Expression of αBーCrystallin in Skeletal MuscleーEffects of Unweighting,Passive Stretch and Denervationー" Pro.Japan Acad.66. 203-208 (1990)
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[Publications] Atomi et al.: "24ーkDa PROTEIN COMPONENT,WHICH DECREASES IN ATROPHIED SOLEUS WITH RAT TALLーSUSPENSION MODEL,WAS αBーCRYSTALLIN." Med.Sci.Sports. 22. S126 (1990)
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[Publications] Tabata,Atomi et al.: "Effect of highーintensity endurance training on isokinetic muscle power" Eur.J.Appl.Physiol. 60. 254-258 (1990)
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[Publications] Atomi et al.: "αBーCrystallin is Expressed in Rat Soleus Muscle and Transcriptionally Regulated during Muscle Atrophy" J.Biological Chemistry.
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[Publications] 跡見 順子: "ラットヒラメ筋の萎縮で特異的に減少するタンパク質はαークリスタリンB鎖であった。" Zーnews(生物学ニュ-ス). 224. 17-18 (1990)
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[Publications] 跡見他: "筋萎縮のメカニズムーTail Suspensionに伴うヒラメ筋αークリスタリンの合成及び遺伝子発現の調節" 第7回宇宙利用シンポジウム報告書. 256-260 (1990)
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[Publications] 跡見 順子(黒田善雄編): "「最新スポ-ツ医学」" 文光堂, (1990)