1989 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸代謝に関与する酵素およびその欠失による先天異常症の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
01480158
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
高木 康敬 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 教授 (50037313)
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Keywords | ヒスチダ-ゼ / ヒスチジン血症 / cDNA分離 / 塩基配列 |
Research Abstract |
アミノ酸の中間代謝に働く哺乳動物酵素の中で、反応機構が酵素化学的にユニ-クで、かつその欠失による先天代謝異常症がしられているものとしてヒスチジン血症を取り上げ、その発症原因遺伝子ヒスチダ-ゼの分子遺伝学的研究を行った。本酵素のcDNAの一部と思われる断片を前に取り出していたが、より一層大きいものをもとめて再分離を試みた。実験はラット肝をリン酸緩衝液中でホモゲナイズして遠心、得られた上清を60℃2分間加熱して10,000rpm20分間再遠心、上清から硫安33%〜55%飽和が沈澱する画分を集めた。次にこれを一昼夜リン酸緩衝液にたいして透析後、DEAEセルロ-スに吸着、バッチ式に50mM〜150mMリン酸緩衝液で溶出される画分をプ-ルし、再び硫安処理して43%〜60%飽和画分を得た。これをリン酸緩衝液に対して一昼夜透析後、ハイドロキシルアパタイトカラムクロマトグラフィ-を行って40mMから160mMまでのリン酸緩衝液濃度勾配で溶出、さらに液クロ用monoQおよびハイドロキシルアパタイトを用いたHPLCで分画した。これらの操作で比活性は350倍上昇し、SDS電気泳動により単一のバンドを示すヒスチダ-ゼの精製標品を回収率91%で得ることができた。そこでこれをアジュバンドと混和後ウサギに接種して、本酵素に対するポリクロナ-ル抗体を作らせ、採取した血清を硫安処理して25〜56%飽和画分を集め、セファロ-ス4Bによるアフィニティ-クロマトグラフィ-で製精した。次にこの抗体を用いて、ヒスチダ-ゼのcDNAをλgtllラット肝cDNAライブラリ-からスクリ-ニングし、10^6個のプラ-グから27個の陽性プラ-クを得た。そしてその中で最長のcDNAインサ-トを含むものから切り出した断片をpUC118および119にサブクロ-ン化してdideoxy sequence法で1050bpの塩基配列を決定した。しかしこれは分子量75,000のヒスチダ-ゼのほぼ半分に相当し、今後さらに残りの断片を得なければならない。
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