1990 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸代謝に関与する酵素およびその欠失による先天代謝異常症の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
01480158
|
Research Institution | Fujita Gakuen Health University |
Principal Investigator |
高木 康敬 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 教授 (50037313)
|
Keywords | ヒスチダ-ゼ遺伝子 / ホモゲンチジカ-ゼ遺伝子 / ウリカ-ゼ遺伝子 / cDNA分離 / 塩基配列 / ゲノムDNA |
Research Abstract |
本研究の目的は、アミノ酸の中間代謝に働く酵素の中で先天代謝異常症の発症原因とされているものについて、その遺伝子の構造を決定し、その知見に基づき異常症の原因を遺伝子のレベルで明らかにするとともに、酵素タンパク質の機能部位を理解することにある。第一にヒスチジン血症の原因であるヒスチダ-ゼ遺伝子のcDNAの約50%を含む断片を昨年度ひろったのに続いて、その塩基配列を決定した。さらにこれを用いてヒトの本酵素のcDNAを分離したが、得られたものは全長のほぼ半分にとどまり、それ以上の部分を得ることは出来なかった。第二にアルカプトン尿症の原因酵素ホモゲンチジカ-ゼをラット肝から精製することに成功し、それを用いて抗体を作り、さらにcDNAを得て塩基配列を決めたが、3側の約50%であり、それ以上の断片は得られなかった。第三にアミノ酸代謝の延長であるプリン体の分解系酵素は、生物の進化とともに活性を欠失したと考えられ、その中のウリカ-ゼは多くの高等動物に含まれるが、ヒト、霊長類および鳥類には活性が見られない。そこでこのような不活性化がいかなる機構でおこるのかを知るため、活性な酵素をもつラット肝から本酵素を精製し、抗体を作製してcDNAを分離、その塩基配列を決定した。そしてさらにゲノムDNAを得て、全構造を決めた。全長は40Kb以上で、8個のエキソンから機成されており、すべてのイントロン-エキソン接合部はGT/AGル-ルに従い、第一エキソンの上流20塩基から70塩基の間に、TATAボックスおよびCATボックスに相当する配列があることを認めた。また人工的に変異を導入して、基質プリン体と結合すると思われる部位を決めることが出来た。さらにこの遺伝子は単一に存在し、これを通じて進化する間に、ヒトおよビ霊長類では不活性化されたことを見い出した。
|
-
[Publications] 加藤 清弥,伊藤 正樹,中村 正道,小川 久光,高木 康敬: "ラット肝ウリカ-ゼcDNAの大腸菌における発現" 藤田学園医学会誌. 14. 89-92 (1991)
-
[Publications] 中村 正道,伊藤 正樹,加藤 清弥,小川 久弥,高木 康敬: "ラット肝ウリカ-ゼ遺伝子の構造解析" 藤田学園医学会誌. 14. 109-113 (1991)
-
[Publications] M.Ito,M.Nakamura,H.Ogawa,K.Kato,Y.Takagi: "Structural Analysis of rat uricase gene." Genomics.19. (1991)