1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト中鎖アシルCoA脱水素酵素cDNAの動物細胞における発現
Project/Area Number |
01480159
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Research Institution | Institute of Applied Biochemistry |
Principal Investigator |
八木 國夫 (財)応用生化学研究所, 所長 (00022749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 万里子 (財)応用生化学研究所, 研究員 (60224987)
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Keywords | 中鎖アシルCoA脱水素酵素 / 酵素活性欠損 / 遺伝子異常 / 培養線維芽細胞 / cDNA / mRN / タンパク合成 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
中鎖アシルCoA脱水素酵素は(MCAD)ミトコンドリアのマトリックスに存在し、脂肪酸のβ酸化の最初の反応を触媒する酵素である。本酵素の異常により発症する先天性代謝異常の症例が認められており、本研究ではこの患者の遺伝子治療の開発のための基礎的成績を得ることを目的としている。本年度においては、昨年度単離に成功し塩基配列を決定したヒト胎盤由来の本酵素の遺伝子を患者の線維芽細胞に導入し、本酵素の発現を試みた。MCACのcDNAを発現ベクタ-pMSGに挿入した構築体を作成した。用いた本酵素活性欠損患者の培養線維芽細胞の一症例では本酵素のタンパクが検出されず、他の一症例では不活性なタンパクが合成されることを分子レベルの解析で認めたので、先ず前者の細胞への導入条件を検討した。細胞への導入法としてリポソ-ム法を検討し、正電荷を有するNー(αートリメチルアンモニオアセチル)ージドデシルーDーグルタメ-トクロライドおよびジラウロイルホスファチジルコリンとジオレオイルホスファチジルエタノ-ルアミンを膜成分とするリポソ-ムが多くの動物細胞での遺伝子発現に有効であることを認めたので、このリポソ-ムへ上記発現ベクタ-を包埋して細胞と接触させた。また細胞内での発現効率を高めるために、M期同調剤であるTNー16あるいはデメコルシンの共存の効果を検討し、遺伝子包埋リポソ-ムと同時に培養液に添加することにより遺伝子の導入に有効であることが判明したので、TNー16を用いた。発現の有無はウエスタンブロット法および免疫組織学的染色によったが、酵素活性の発現に関しては、高感度の定量法が必要となり、HPLCによる方法を組立てた。以上の結果、今回用いたベクタ-では非常に僅かな発現が認められたにすぎなかったので、新たに培養線維芽細胞での発現効率の高いベクタ-への本酵素のcDNAの挿入を検討中である。
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