1989 Fiscal Year Annual Research Report
回虫ミトコンドリア呼吸系における低酸素圧適応機構の解析
Project/Area Number |
01480173
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大家 裕 順天堂大学, 医学部・寄生虫学教室, 教授 (30052939)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古島 理江子 順天堂大学, 医学部・寄生虫学教室, 助手 (50146776)
北 潔 順天堂大学, 医学部・寄生虫学教室, 講師 (90134444)
高宮 信三郎 順天堂大学, 医学部・寄生虫学教室, 講師 (90138206)
|
Keywords | 嫌気的エネルギ-代謝 / 複合体II / 回虫ミトコンドリア / フマル酸還元酵素 / フラビン結合領域 / アミノ酸配列 |
Research Abstract |
酸素分圧の低い宿主体内に生息する寄生虫の多くは、宿主であるヒトなど哺乳類とは異なり嫌気的エネルギ-代謝を行っている。申請者は回虫をモデル系としてその嫌気的エネルギ-代謝の特徴を生化学的に解析してきた。平成元年度は現在までに明らかにしてきた回虫成虫ミトコンドリアの嫌気的呼吸鎖、すなわちNADHーフマル酸酸化還元系における共役部位の検索、およびこの呼吸系の末端酸化酵素として機能している複合体II(フマル酸還元酵素)の特徴をタンパク質のレベルで明確にすることを目的として研究を行った。 第1点に関しては以下の様な結果を得た。単離した回虫成虫ミトコンドリアは嫌気的条件下NADHおよびフマル酸の添加によりATPを合成した。このATP合成は脱共役剤で阻害されることから、いわゆるH^+の電気化学ポテンシャル差△μH^+により駆動されていると考えられる。これまでに申請者が単離した複合体の再構成実験より明らかにしてきた様にNADHからの還元力は複合体I、ロドキノン、複合体IIと伝達されることが判っており、今回の結果は複合体Iにおける共役部位の存在を明確に示したものである。 第2点については触媒部位として特に重要なフラボ蛋白サブユニットにおけるフラビン結合領域のアミノ酸配列の解析を行った。サブユニットおよびフラビンペプチドの単離にはHPLCを用い、その際共有結合しているフラビンの検出には購入したフォトダイオ-ドアレイ検出器を用いた。その結果FADを共有結合しているヒスチジン周辺の一次構造が回虫、ウシ心筋ミトコンドリア、細菌で良く保存されている事実を見出した。またグルタチオン還元酵素や細菌複合体IIとの比較からこれらの酵素においてFADのAMP部分と相互作用すると考えられている領域がミトコンドリア複合体IIにも存在することが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kiyoshi Kita: "Human complex II(succinateーubiquinone oxidoreductase):cDNA cloning of iron sulfur(Ip)subunit of liver mitochondria" Biocheimcal and biophysical research communications. 166. 101-108 (1990)
-
[Publications] Rieko Furushima: "Structural studies of three flavinーinteracting regions of the flavoprotein subunit of complex II in Ascaris suum mitochondria" FEBS letters. (1990)