1989 Fiscal Year Annual Research Report
好中球の活性酸素放出機構の解析とその細菌感染防御における役割
Project/Area Number |
01480175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金ヶ崎 七朗 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斧 康雄 帝京大学, 医学部, 助手 (10177272)
大海 忍 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20160046)
上野 郁子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60012738)
中村 三千男 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30091276)
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Keywords | 好中球 / 単球 / 好酸球 / マクロファ-ジ / ス-パ-オキシド / ヒドロキシルラジカル / ERS |
Research Abstract |
平成元年度はまず、刺激により好中球の放出する活性酸素の分子種について、酸素ラジカルをDMPOによりスビントラップしてESRスペクトルを取る方法で解析した。これは最近、この方法により好中球からのヒドロオキシルラジカル放出について相矛盾する報告が、米国の研究者から続いて提出され、混乱しているからである。そして先に我々が別の方法で示したように、この方法でもヒト、ブタ共に、好中球が無傷の場合にはス-パ-オキシドアニオンのみを細胞外に放出することを明らかにし、この論争に決着をつけた。即ち、ヒドロオキシルラジカルのアダクトと考えていたものは、実は別の系で生じたものであったことを明らかにすることができた。好中球による細菌は、不均化反応で生ずる過酸化水素や、ミエロペルオキシタ-ゼの助けで発生するHCIOによるものと考えられる。 一方我々は、好中球のス-パ-オキシド産生に関与する形質膜シトクロ-ムの、大小のサブュニット蛋白の各部位を識別する抗体を分離した。この中にはこれらサブユニットをそれぞれ細胞の外から吸着する抗体が存在した。このことはこのシトクロ-ムの大小のサブユニット蛋白の少なくとも一部が細胞表層を向いて存在していることを示し、このシト-クロ-ムが酸素に電子をわたしているという考えを支持する。またこれらの抗体は易感染性の疾患である慢性肉芽腫症CGDの診断に用いることができることが判明した。この抗体を用いてこのシトクロ-ムの体内分布を調べたところ、好中球、単球、好酸球のほか、各臓器のマクロファ-ジ系の細胞(たとえば肝のクッパ-細胞 )脳のミクログリアにも存在することが明らかとなった。また特筆すべきは、Bリンパ球にこのシトクロ-ムを発見したことである。この役割については現在研究を持続中である。
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[Publications] I.Ueno,S.Kanegasaki,他: "Reevaluation of the spin-trapped adduct formed from 5.5-dimehef-1-pynoline-1-oxide during are resipratory burst in neutrophils" J.Biochem. 105. 905-910 (1989)
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[Publications] I.Ueno,S.Kanegasaki,他: "Detection of oxygeu metabolites by spin-trap EPR during the respiratory furst in neutropliuls indueed by various stimuli" Medical Biochemical and Chewical Aspecty of Free Radicals. 805-808 (1989)
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[Publications] M.Nakamura,S.Kanegasaki,他: "Cutochrmeb558,a component of superoxide generating system of phagocutes,is also presentin Blymphocyte leniage" In International Corgren of Immunology Abstracts. 471(77-24) (1989)
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[Publications] M.Nakamura,S.Kanegasaki,他: "Occurrence of Iymphocytes b558 in Bーcell leneoge of human lepuphogtes" Blood. 75. 458-461 (1990)